へこたれない人たち 2

 最近のへこたれない人のことを思っていたら、本日に届いた「みすず」三月号は、
そのあちこちにUSA第45代大統領のことを話題とした文章がありました。
外岡秀俊さんのコラム、池内紀さんの「いきもの図鑑」、そして大井玄さんの「老人
は海図のない海」であります。
 一番きびしいのは大井さんの分析でありまして、いつもは「認知症高齢者」のこと
を話題にする大井さんですが、今月はその話題のなかに大統領がまぎれこんでいます。
「彼には認知症高齢者の『もの取られ妄想』に匹敵する『誇大妄想』がある。
 虚言を虚言と認識せず、自分に対する批判に信じられないほど敏感に傷つく巨大な
エゴをもち、しかも異を唱える者には極度に攻撃的な権力者の囚われている『宇宙』
を壊すことは、周囲にとってきわめて危険だろう。・・・
 いずれにせよ、『アメリカ第一主義』のトランプ大統領は、嘘つきで、人種差別を
行い、強者の論理を弱者に押しつけるガキ大将的精神年齢の持ち主である。その印象
は世界に広まりつつある。」
 このようなあぶない人がリーダーであるのですね。アメリカ第一主義をまねている
わけではないでしょうが、都民ファーストなんていう発想にも似たようなところが
あるのでしょうか。そういえば、最近に結成大会を開いた「日本第一党」というのも
ありです。
 第45代とくらべると、そこまで精神的にタフであるのかどうかわかりませんが、
公人か私人かで議論されているご夫婦も、まずまずへこたれないことです。だいぶん
昔にはご主人のほうが、体調を崩したことがありますが、このところはとりまく状況
はよろしくないのですが、批判を自分の力にかえているようにも思えます。
めいっぱい公人であるかのようにふるまって、それであぶなくなってきたら、疑う
ことなく私人であって、どこが公人であるかと居直る。たしかにね。この話は靖国
参拝の時にも使われる手法でありまして、どのように受け取るかは、受け取るほうの
問題であって、どう思わせようとしたかではないということですね。
 あれもこれも、たしかにグレーなことはありますが、すくなくとも権力者とその
連れ合いの関係においては、かんべんしてほしいことです。公人か私人かなんて話題
になる夫人は、過去にどのくらいいたろうか。もちろんその極めつけは宮沢喜一夫人
でありまして、その人は政治家と一緒になったつもりはないといって、外遊などに
同行することもなかった。今の人は政治は家業だからね。それではだめなんでしょう。