先日に購入した清岡卓行さんの「薔薇ぐるい」を、飛ばしながら走り読みしていま
した。
- 作者: 清岡卓行
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1982/09
- メディア: ?
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あったので、これは作者の経験が投影されているに違いないという興味で、この小説
を購入したのですが、そういう興味本位の読み方は半ば裏切られ、そして新たに得る
ところもありです。
まずは興味本位のところでいきますと、55歳の妻に先立たれた大学教授が、教え子
である22歳の女子学生に恋愛感情をいだいて接触したとしたら、へたすりゃアカハラ
で訴えられる話であります。この大学教授は、ぐっと自制して危ない行動は取らない
のですが、それでもあれこれと妄想をして、この学生との結婚を夢想したりするので
すね。もうすこしで渡辺淳一さんの作品世界にはいりそうですが、残念ながらそうは
ならずでした。
読んでいて面白いのは、戦中期間の日本プロ野球の話題となるところ。清岡さんは
プロ野球の世界で仕事をしていたわけですから、野球についての蘊蓄をかたるところ
は、非常に面白いものです。作中でも書いているのですから、どこかにプロ野球に
ついてのエッセイは存在するのでしょうね。清岡さんのプロ野球についての文章を
まとめて読んでみたくなりました。
この「薔薇ぐるい」は、後年になって作中に引用されている「薔薇」についての
詩をまとめたものとあわせて復刊されました。まさに作中の大学教授がのぞんだ形
での出版となったことになりです。
- 作者: 清岡卓行
- 出版社/メーカー: 日本文芸社
- 発売日: 1990/10
- メディア: 単行本
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についてのくだりであります。これについてのところを読んでいましたら、清岡
さんは、バラを育てているのだなということがわかります。季節ごとに行う作業に
ついての記述を読んでいても、納得できることです。主人公の庭にはバラの木が
二十本ほど植わっているとありますが、これは作者の庭に同じでありましょう。
作中にはバラの木は十年から二十年は大丈夫とあるのですが、清岡さんが亡くなっ
て十年以上経過して、残したバラの木はどうなっているのでありましょう。