図書館から借りた本 2

 図書館で伝記に分類される本がならんでいる書架の前にたってみましたら、あれこ
れと目に入りましたので、そのなかから読むことができそうなものを選んで、池内さ
んのものと一緒に借りてきました。
 以下のものになりますが、そういえば、機会があれば読んでみたいと思っていたの
ですが、これまで図書館にいっても、これのところまではたどりつくことができてい
ませんでしたので、これからはこの書架もチェックをしなくてはいけないですね。
( 数年前に読んだ「木村兼葭堂のサロン」は、やはり伝記の棚にあったのでした。)
 その一冊は、大島幹雄さんの「虚業成れり」であります。

虚業成れり―「呼び屋」神彰の生涯

虚業成れり―「呼び屋」神彰の生涯

 大島さんの本は、いろいろ読んでいて長谷川濬さんについて書かれた「満州浪漫」
も当然のこと購入しているのですが、あの「満州浪漫」は、いわばこの「虚業成れり」
の脇役を主人公にした、今はやりのことばでいうところのスピンオフものでした。
虚業成れり」は、かって「赤い呼び屋」といわれた風雲児といってもいい「神彰
さんの生涯を描いたもの。当方も名前は知っていましたが、どのような人であるのか
は、この本を読んではじめて知ることになりです。神さんは有吉佐和子さんと結婚し
ていた人として、名前があがってくるのですが、有吉さんとの間にもうけた娘さんと
の関係が回復するのは、有吉さんが亡くなってからのことになるのですが、それも
含めて波瀾万丈の一生でありました。
 ひょんなことからサーカス業界に身をおくことになった大島さんは、知らない内に
神さんの人脈の世界で仕事をすることになったことになりです。大島さんが働いてい
た会社というのは、こういう背景であったのかということもわかりました。
 もう一冊は尾崎俊介さんの「S先生のこと」でありました。
S先生のこと

S先生のこと

 数年前にでて世評の高いものでありました。なぜかこれまで縁がなかったのです
が、読みやすい文章と構成で、あっというまに読むことができました。著者が非常に
大きな影響を受けた先生のことを書いているのですが、自分の大学時代の指導教授で
はなく他大学から出向できている非常勤の先生であるというのが、この本のよさで
しょうか。適度の距離感があるというのも、そのせいでしょう。父ではなく、おじ
さんに生きる上での大きな影響を受けたというような話であります。
 当方はS先生が翻訳したものを読んだことがなしですが、それじゃフォークナーで
も読んでみようかとはならずです。