「日本鉄道歌謡史」に取り上げられているのは、東日本大震災までのものです。
最終章のうたは、あまり知名度のない「さよならバビロン」というもので、これが
最後におかれているのが、この本の性格を一番よくあらわしているようです。
その前の章は「鉄道という記号」となり、とりあげられている曲は1973年から
2005年の6曲です。鉄道といえば、移動の手段であったはずであるのに、この時代
になると記号化するのか。この時代はマイカーブームということで、移動の手段で
一番身近なのは、自動車が占めるようになったことに影響しているようです。
その6曲は、次のものです。
公園のD51 友部正人 1973年
シンデレラ・エキスプレス 松任谷由実 1985年
女の駅 大月みやこ 1987年
赤いスイートピー 松田聖子 1982年
汽車 坂本冬美 1996年
赤い電車 くるり 2005年
時代の違いをはっきりとさせるためでしょうか、その前の章におかれた曲とは
雰囲気の違うものがおかれています。
ちなみに、その前「別れと鉄道」に取り上げられたものとは、次のものです。
花嫁 はしだのりひことクライマックス1971年
どうにかなるさ かまやつひろし 1970年
津軽海峡・冬景色 石川さゆり 1977年
木綿のハンカチーフ 太田裕美 1975年
池上線 西島八重子 1975年
なごり雪 かぐや姫 1975年
こちらは有名な曲ばかりですが、いずれも70年代を代表するものです。
年代としては、ここにあっても不思議でない友部正人さんの歌が、内容的には動か
ない蒸気機関車を描いていて、時代の変化を伝えているとあります。
当方は、この友部さんの「公園のD51」という曲は、まったく知らず。動画で
聞くことはできないかと思いましたが、これには見あたりませんでした。
(歌詞だけは確認できました。)
「公園のD51よ走れ」という合唱曲はありますが、これはまったく別の曲でした。