岸政彦さんの「マンゴーと手榴弾」を見ていましたら、これは沖縄での調査に
まつわる本でありますので、そのなかには、次のような章がおかれています。
「爆音のもとで暮らす」、これの最初には「普天間に住むことは『自己責任か』」
このリード文については、「2015年6月25日、あるベストセラー作家が勉強
会で行った講演」に反応したものとなりです。
その作家は、「普天間飛行場の成り立ちを『もともと田んぼの中にあり、周りは
何もなかった。基地の周りにいけば商売になると、みんな何十年もかかって
基地の周りに住みだした。」という認識を示したと紹介されています。
ここのところずっとお騒がせの作家さんであります。岸さんは、もちろんこの
作家の認識に批判的で、「この作家による下らない暴言それ自体は、ここで
じっくり取り上げるに値しないものである。しかし同じような考えは、彼だけで
なく、多くの人々によって共有されている。普天間の問題だけではなく、例えば、
自ら進んで公園に住むホームレスや、自ら納得して働くセックスワーカーなどに
対する、「自己責任」という名の論理のものでの、差別的なまなざしが存在する
のである。」と書いています。
この作家のものがベストセラーになるということは、多くの読者が「差別的な
まなざしを共有したいと思っている」ということですね。そうした考えの人の本
がたくさん売れるというのは、最近良く耳にする言葉でいえば「やばい」という
しかありません。
その版元の代表さんも含めて、ひどくバランスがよろしくないことで、そろって
「やばい」人たちであります。