借りている本 5

 借りられるのは二週間であるというのに欲張って、もう一冊借りていました。
もともとは、これを借りるために図書館へといきましたら、新刊の棚に「日本鉄道
歌謡史」がはいっているのを見て、勢いでこれも借りたものです。
 ちなみに、今回の本命で借りたのは、次のものでした。

木村蒹葭堂のサロン

木村蒹葭堂のサロン

 中村真一郎さんの小説はほとんど読んでいないのですが、気になるのは晩年の三部
作であります。
蛎崎波響の生涯

蛎崎波響の生涯

 「頼山陽とその時代」だけは文庫化されまして、これは購入して読んでやりましょ
うと思ったのですが、江戸漢詩の世界にはいっていけずで、ほとんど入り口のところ
で沈没でした。
 中村さんは頼山陽について、「私のおちいっていた神経障害とまことによく似た病
状に、少年時代の末期に苦しめられ、そのために廃嫡されて、出奔して京都で自由
人の生活を送り、特に生涯、女性問題の絶え間がなかったと知って、私はわが身に
引き寄せて、彼の精神構造とその行状とその仕事との関係について、深く知りたく
なったことも、この著作の動機であった。」と書いているのですが、頼山陽の女性
関係に焦点をあわせて読むなんてことは思いつきもしませんでした。
 そういえば、中村真一郎さんも女性問題ではいろいろとあったのですね。なにかの
文章に書いてありました。
 「木村兼葭堂のサロン」は、「蠣崎波響の生涯」を書いている過程で取り組むよう
になったとあります。「蠣崎波響」といえば、北海道博物館でフランスで所蔵
されている代表作品の里帰り展が開催されていました。(ちょうど昨日で終了、この
あと大阪 民族学博物館へ巡回)
 今月の「図書」には、池澤夏樹さんが「蠣崎波響の画業と漢詩」という文章をよせ
ていまして、蠣崎波響の漢詩については、中村真一郎さんの本によっていました。