なんでもあり 2

 もともと政治家に知的な誠実さを求めてはいけないのかもしれません。それでも子ど
もの頃に見ていた大人の政治家たちは、いまよりも全うな人間であったように思います。
 当方が自民党よりも民主党や他の党のほうが、すこしでもましであると思うのは、
親子代々の議員がより少ないからであります。いつの間に議員は世襲があたりまえで、
家業となったのでありましょう。
 過去に自民党が下野したのは、世襲の議員たちが不祥事を起こして信頼をなくした
からでありました。不祥事を起こした議員たちが、起死回生をはかって存在感を見せて
いるのが、現在の状況でありましょうか。まったくもって迷惑なことであります。
 空疎の言葉を、いかにも自信ありげに語るその姿を見ると、その昔に悪徳商法で摘発
された詐欺師の一人を思い浮かべます。まさか、彼のいうことを信じていて、後になって
騙されたなんてことはいうことはなしにしましょう。
「政治の化けの皮がはげかかってから、それを追及し、それに悲憤慷慨することはたやす
い。定めし、幕末志士の現代廉価版が、これからこの国土に輩出することであろう。
というのは、わが日本は、いまや二度目に『尊王攘夷』ないしは『尊王か攘夷か』の時代
に足を踏み入れて来たようだから。だが、言い古されたことだが、大いなる歴史的事件は
二度繰返す、一度目は悲劇として、二度目は道化芝居として。どうやら、その道化芝居が
いよいよ幕を明けたようである。」
 引用したのは、林達夫さんの「新しい幕明き」からであります。この文章が発表された
のは、「群像」1950年8月号であります。1950年6月25日に朝鮮戦争が開戦とあり
ますので、こうした情勢を背景にかかれたものでしょう。

「二度目は道化芝居」でありますが、いまは何回目の「道化芝居」かわかりませんが、
それにしても「役者」が下手であります。