待ち時間に読む本 3

 伊井直行さんは、自筆の年譜によりますと「1995年 辻原登氏に誘われて、東海
大学文学部日本文学科非常勤講師となる。」とあります。東海大学の文芸コースと
いうのは辻原登さんが、深くかかわっていたのでありました。
 伊井さんの講談社文芸文庫版「濁った激流にかかる橋」の自筆年譜には、1999年の
ところに次のようにありました。
「 この年、辻原氏を中心に東海大学文学部に創作コースを設置する動きが本格化、
これをサポートする。学科として設立することが学内で決定した後、翌年にかけて
人事やカリキュラム策定、文部省に提出する書類の作成など辻原氏と共に行う。
もう一度やれと言われてもできそうにない面倒な仕事だったが、非常に面白い経験
でもあった。」
 この学科が認可を得て、誕生したのは2001年4月でありますから、準備に1年以上
かかったことになります。それ以来、専任教員として活動しています。
もともと作品数は少ない伊井さんでありますが、これ以降、さらに発表される作品は
少なくなっているようです。
 ウィキペディアによりますと、それ以降に発表のものは、以下のようになります。
『お母さんの恋人』(2003年、講談社
『青猫家族輾転録』(2006年、新潮社)

青猫家族輾転録

青猫家族輾転録

『愛と癒しと殺人に欠けた小説集』(2006年、講談社
愛と癒しと殺人に欠けた小説集

愛と癒しと殺人に欠けた小説集

『ポケットの中のレワニワ』(2009年、講談社
ポケットの中のレワニワ(上) (100周年書き下ろし)

ポケットの中のレワニワ(上) (100周年書き下ろし)

岩崎彌太郎 「会社」の創造』 (2010年、講談社現代新書
岩崎彌太郎─「会社」の創造 (講談社現代新書)

岩崎彌太郎─「会社」の創造 (講談社現代新書)

『会社員とは何者か? 』講談社、2012 
会社員とは何者か? ─会社員小説をめぐって

会社員とは何者か? ─会社員小説をめぐって

 この10年ほどで、小説はたった三作であります。