後藤明生さんの「しんとく問答」は、もちろん古書でしか入手ができないのですが、
最近は娘さんがやっているアーリーバードブックスというところから電子書籍で刊行
されています。(「アーリーバード」とあると「挟み撃ち」を思いだしますね。)
- 作者: 後藤明生
- 出版社/メーカー: アーリーバード・ブックス
- 発売日: 2013/12/14
- メディア: Kindle版
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「内容紹介
文学史の教科書では「内向の世代」と分類される作家・後藤明生。その作品は常に
「笑い」を携え、私小説的色合いをもかもしつつ、常にフィクションのような
ノンフィクションのような、生真面目と不真面目を自在に行き来するような、とぼけた、
それなのに深い、という独特の世界を構築しています。没後14年、長らく待たれていた
選集の刊行がついに、キンドルで実現しました。
代表作をはじめとして、まさに後藤本人の人生をたどるような味わい深い中短編、
更には未刊行の作品もまじえ、生前からのファンはもちろん、新たな読者にもきっと
満足していただけることと自負しております。今回の企画は後藤明生の実子である
長女・元子が独立レーベルを立ち上げて実現したという経緯もまた、エポックメイキング
であることと感じています。
ある時はマーラーの交響曲を聴くために、またある時は宇野浩二の文学碑を訪ね、
さらには大阪城公園を散策し、そこで知った「四天王寺ワッソ」の見物に出かけ……。
単身赴任の初老の男が、地図を片手に大阪の街を歩き回り、遂には俊徳丸の墓と思われる
古墳へとたどり着く。「マーラーの夜」「十七枚の写真」「大阪城ワッソ」「俊徳道」
ほか全8作から成る、日記文、書簡文、講演録など、さまざまな形式で記された連作
小説。1995年、発表。」
かって自分の作品が、次から次と絶版となって入手ができなくなったことを反発して、
作家自らが自分の旧作品の自費出版をしたことがありました。ずいぶん昔のことで、
冊子の形態であったように思いますが、それでも版元となって在庫を抱えると、ずいぶん
場所をとったことでしょう。
場所をとらなく、在庫していても床が落ちる心配がないということからは、電子書籍
はいいのかもしれません。
しかしそれでも、この「しんとく問答」は紙の本で読んでもらいたいものです。