しんとく問答 8

 後藤明生さんの「しんとく問答」は、もちろん古書でしか入手ができないのですが、
最近は娘さんがやっているアーリーバードブックスというところから電子書籍で刊行
されています。(「アーリーバード」とあると「挟み撃ち」を思いだしますね。)

しんとく問答 後藤明生・電子書籍コレクション

しんとく問答 後藤明生・電子書籍コレクション

このキンドル版の紹介を、はりつけておきましょう。
「内容紹介
文学史の教科書では「内向の世代」と分類される作家・後藤明生。その作品は常に
「笑い」を携え、私小説的色合いをもかもしつつ、常にフィクションのような
ノンフィクションのような、生真面目と不真面目を自在に行き来するような、とぼけた、
それなのに深い、という独特の世界を構築しています。没後14年、長らく待たれていた
選集の刊行がついに、キンドルで実現しました。
代表作をはじめとして、まさに後藤本人の人生をたどるような味わい深い中短編、
更には未刊行の作品もまじえ、生前からのファンはもちろん、新たな読者にもきっと
満足していただけることと自負しております。今回の企画は後藤明生の実子である
長女・元子が独立レーベルを立ち上げて実現したという経緯もまた、エポックメイキング
であることと感じています。
 ある時はマーラー交響曲を聴くために、またある時は宇野浩二の文学碑を訪ね、
さらには大阪城公園を散策し、そこで知った「四天王寺ワッソ」の見物に出かけ……。
単身赴任の初老の男が、地図を片手に大阪の街を歩き回り、遂には俊徳丸の墓と思われる
古墳へとたどり着く。「マーラーの夜」「十七枚の写真」「大阪城ワッソ」「俊徳道」
ほか全8作から成る、日記文、書簡文、講演録など、さまざまな形式で記された連作
小説。1995年、発表。」
 かって自分の作品が、次から次と絶版となって入手ができなくなったことを反発して、
作家自らが自分の旧作品の自費出版をしたことがありました。ずいぶん昔のことで、
冊子の形態であったように思いますが、それでも版元となって在庫を抱えると、ずいぶん
場所をとったことでしょう。
 場所をとらなく、在庫していても床が落ちる心配がないということからは、電子書籍
はいいのかもしれません。
 しかしそれでも、この「しんとく問答」は紙の本で読んでもらいたいものです。