本の雑誌 3月号

本の雑誌」3月号の特集は「造本・装丁は楽しい!」であります。
 巻頭におかれた発行人によるコラム「今月の一冊」は「装丁雑記」というものです。
坂口顕さんという、かっての岩波書店で社内装丁を担当されていた方による本のよう
です。岩波の社員さんによる装丁についてのものというのは、ちょっと気になること
でありまして、この本については、この号の坪内祐三さんのコラムでも取り上げられ
ています。
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 坪内さんのコラムによりますと「田村義也 編集現場115人の回想」に坂口さんは
文章を寄せられているとのことで、そうなると、この本で坂口さんの文章を目にして
いるはずですが、まるで記憶に残っていませんでした。
 田村義也さんは、言わずと知れた岩波書店の編集者で装丁家ですから、坂口さんは、
岩波の後輩ということになります。
田村義也 編集現場115人の回想」には、「あなたと田村義也さんとの最初の出会い
は何ですが」という質問が用意されているのですが、それに坂口さんは、次のように
こたえています。
「 1956年の春、田村さんは岩波新書の編集部員であった。私は原稿取りと雑用をする
少年社員としてその編集部で働きはじめた。田村さんは三十三歳の中堅編集者、私は
十七歳の夜間高校生であった。田村さんの言いつけで、多くの新書の著者のもとへ、
原稿を頂きに廻った。」
 以前に出版社の少年社員を話題にしたときに、岩波に少年社員という制度があったの
かどうかわからないが、「小僧さん」といわれるような存在の人がいたと記したことが
ありました。(林達夫さんのところに、大塚信一さんが原稿を受け取りにいったとき、
対応した林夫人が、岩波の小僧さんが来たといったことに関してです。
http://d.hatena.ne.jp/vzf12576/20100314 )
 岩波の少年社員であった方が、書いた本であるというだけでも、これは買いでありま
すね。