今年、話題の本 5

 亀和田武さんが描く「佐野洋子」さんのところに、佐野さんの最初のご主人である
装丁家の「広瀬郁(ひろせ かおる)」さんが登場しました。広瀬さんの装丁といえ
ば、代表的なものはと思って頭に浮かんだのは、河出書房のものでした。
 本日の片付けのときに物置においてある本棚で、広瀬さんが装丁を担当した本を
発見であります。記憶違いであったら、どうしようと本を手にして確認をいたしまし
たら、広瀬さんのお名前を確認することができました。

 60年代の後半から70年代のはじめにかけては、海外文学の翻訳シリーズが各社から
でていました。河出からは、この「モダンクラシックス」と「今日の海外小説」と
いうのがでていまして、新潮社からも「百年の孤独」が入ることになるシリーズがあ
りました。白水社からも「新しい世界の文学」というシリーズがあって、ずいぶんと
翻訳小説の世界がにぎやかであったことです。
 この河出からのモダンクラシックスは、どうしたわけか高額物件となった刊行本が
何冊かありまして、そうした高額ものをお探しの皆さんは、これの装丁の基本は、
本日かかげた「三人の女」のものと同じでありますからして、参考にしてくだされで
あります。
 亀和田さんは、広瀬さんの事務所へといったときは、佐野さんと喫茶店へといって
お話をしていたそうですが、もうすこし広瀬郁さんとのことを聞きたく思いました。
 この「夢でまた逢えたら」には、小説家 広瀬正さん、編集者 広瀬和生さんと
いう方々が登場するのですが、なかでは広瀬郁さんが一番のちょい役となっています。