小樽にゆかりの

 北海道の小樽というと、近年は運河に沿った地区が観光名所となっていて、アジアの
お客さんが多くこられています。台湾では、日本にくる旅行が人気で、なかでも北海道
は一番人気があるのだそうですが、そうした旅行者のほとんどは、小樽の運河に沿った
地区を見てまわっているようです。
 現在の観光小樽というのは、かっての繁栄による産物でありまして、小樽の旧市街の
さびれ方と、運河地区の賑わいのギャップの大きさに驚くことです。
小樽が栄華を極めたのは戦前の話でありまして、海運とか漁業の関連で商取引も盛んと
なっていましたので、ここには2002(平成14年)まで日本銀行の支店もおかれていまし
た。
 小樽で子ども時代を過ごした有名人というのもいまして、石原裕次郎とか吉田秀和
んたちは、親の転勤に伴って、小樽での暮らしを経験しています。吉田秀和さんは、
小樽の旧制中学時代に、伊藤整に教えを受けていて、吉田さんの著書「ソロモンの歌」
には、その時代の伊藤整のスケッチが収録されています。
 この6月まで、小樽市文学館・美術館では「瀧口修造シュルレアリスム展」が開催
されていました。公立美術館の巡回展となりましたが、この瀧口修造さんもまた小樽に
ゆかりの方でありました。

 戦前からのシュルレアリスト 瀧口修造さんは、富山の出身でありますが、富山と
北海道といえば、まずは北前船が結ぶ縁と考えるのが一般的であります。たしか瀧口
さんも船問屋の子息ではなかったろうかと思ったのですが、これは勘違いで代々医者と
なった家の出身とのことです。
 瀧口修造さんは気になる存在であることから、これまでも著作を購入したり、雑誌の
特集などを見たりしていたのでありますが、瀧口さんと小樽の結びつきについては、
頭からとんでおりまして、どうして巡回展が小樽であるのかと思ってしまいました。