中公文庫が発刊されて40周年になるとありました。1973年6月に創刊されましたの
で、ちょうど当方が高校3年となった時期のことであります。
文庫というと、当方は岩波と新潮しかなかった縁がなかったのでありますが、その
すこし前の71年に講談社文庫、このあとの74年に文春文庫が創刊され、にわかに書店
の文庫棚がにぎやかになったことです。
なかでも中公文庫は、特別な存在でありました。最近は、昔ほどではありませんが、
それでも数ヶ月に一度くらい、これはと思う新刊を出してくれます。
山口昌男さんが亡くなったあとに、中公文庫よ「本の神話学」を復刊せよという声が
あがっていました。当方の中公文庫への思いいれは、これに反応するのでありました。
中央公論新社が読売新聞社の傘下にはいったことが影響しているのかどうかわかりま
せんが、当方にアピールした「林達夫」から「山口昌男」という流れが消えてしまい
そうであります。
中公文庫の初回ラインナップのなかには、庄司薫さんの「赤ずきんちゃん気をつけ
て」がありまして、庄司薫が林達夫スクールの一員であるというのは、おわかりいた
だけると思うのですが、この作品がいかにも中公文庫でありました。
この作品で中公文庫を知ったという人がたくさんいたはずでありますが、これも
今はカタログから姿を消そうとしています。(「新潮文庫」へ移籍という信じられ
ないトレードの結果)
自宅のどこかを探しましたら、中公文庫の古い解説目録がでてくるかもしれません
が、かってのものとくらべると、最新の2013年4月の目録は、林達夫、山口昌男
の著作品が全滅で姿を消しています。
中公文庫については「SUMUS」別巻で一冊まるまる特集をしていまして、それくら
いファンが多いのでありますが、現状はやはり淋しいといわざるを得ません。
40周年を記念して、ごまめのはぎしりではありませんが、ないものねだりの復刊希望
でも記することにいたしましょう。