中公文庫 40周年 2

 以前、京都へといったときに、百貨店であった催しで山本善行さんが店主をつとめる
SUMUS」ショップ(?)に立ち寄ったことがありました。あれは百万遍の古本市が
あった時であったでしょうか。(調べるとわかるのですが、まあいいか)
 その会場で、当方が購入したのは「SUMUS」別冊 まるごと一冊 中公文庫でありま
した。この本には美濃吉の箸袋がしおりかわりに挟まれていまして、たしか四条河原町
の阪急デパートが会場で、古本をながめたあと、食事をしたと思います。
 中公文庫のことを思うと、この特集のことがすぐに頭に浮かびました。それなのに、
誰が、どのようなことが書いているのかが、頭からとんでいました。
一番意外であったのは、坂崎重盛さんが書いていることでした。
坂崎さんの書き出しの引用です。
「本誌で、中公文庫の特集をする、と聞いたとき、私は内心、(うーん)と唸った。
この(うーん)は戸惑いの反応である。
 なぜかといえば、このテーマに関してはすでに坪内祐三氏による『小さな社会人大学
中公文庫の100冊という、やたらストロングな一文があるからである。・・・
 このなん度読んでも楽しく、また感嘆せずにはいられないエッセイの存在を知る者が、
改めて中公文庫について語ることは、プレスリーの後のステージでロカビリーを唄うこ
とであり、桂文楽の後の高座で『船徳』を演じることであり、『The ALFEE』の幸之助
の後で、日本のフォーク史のうんちくを語るような 無謀なことと思われたのである。」
 最後のところで、坂崎幸之助が登場するのににやりとしますが、もちろん、坂崎つな
がりは、おじと甥の関係でありますね。
 この文章があったことも忘れていれば、坪内さんの「小さな社会人大学」という文章
も頭に残っていませんでした。こちらの文章は、かっての「ノーサイド」に掲載され、
その後、「シブい本」に収録されています。

シブい本

シブい本

 中公文庫のおかげで、ひさしぶりに「シブい本」も手にすることになりましたが、ここ
には、坪内さんのエッセンスがつまっていることであります。