以前、京都へといったときに、百貨店であった催しで山本善行さんが店主をつとめる
「SUMUS」ショップ(?)に立ち寄ったことがありました。あれは百万遍の古本市が
あった時であったでしょうか。(調べるとわかるのですが、まあいいか)
その会場で、当方が購入したのは「SUMUS」別冊 まるごと一冊 中公文庫でありま
した。この本には美濃吉の箸袋がしおりかわりに挟まれていまして、たしか四条河原町
の阪急デパートが会場で、古本をながめたあと、食事をしたと思います。
中公文庫のことを思うと、この特集のことがすぐに頭に浮かびました。それなのに、
誰が、どのようなことが書いているのかが、頭からとんでいました。
一番意外であったのは、坂崎重盛さんが書いていることでした。
坂崎さんの書き出しの引用です。
「本誌で、中公文庫の特集をする、と聞いたとき、私は内心、(うーん)と唸った。
この(うーん)は戸惑いの反応である。
なぜかといえば、このテーマに関してはすでに坪内祐三氏による『小さな社会人大学
中公文庫の100冊という、やたらストロングな一文があるからである。・・・
このなん度読んでも楽しく、また感嘆せずにはいられないエッセイの存在を知る者が、
改めて中公文庫について語ることは、プレスリーの後のステージでロカビリーを唄うこ
とであり、桂文楽の後の高座で『船徳』を演じることであり、『The ALFEE』の幸之助
の後で、日本のフォーク史のうんちくを語るような 無謀なことと思われたのである。」
最後のところで、坂崎幸之助が登場するのににやりとしますが、もちろん、坂崎つな
がりは、おじと甥の関係でありますね。
この文章があったことも忘れていれば、坪内さんの「小さな社会人大学」という文章
も頭に残っていませんでした。こちらの文章は、かっての「ノーサイド」に掲載され、
その後、「シブい本」に収録されています。
- 作者: 坪内祐三
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には、坪内さんのエッセンスがつまっていることであります。