林達夫さんは発表した著作の少ない方で、翻訳をのぞくほぼすべてを集めた著作集に
おいても全六巻でおさまってしまいます。著作集においてはじめてまとめられたものも
数多くあります。
翻訳を除いて発表された著作は、刊行順に「文芸復興」「ルソー」「思想の運命」
「歴史の暮方」「共産主義的人間」そして「反語的精神」の六冊であります。
「反語的精神」は評論を再録したものでありますから、「ルソー」を除く主要四冊は、
すべて中公文庫に収録されたといえます。
いまでは、林達夫さん、平凡社から著作集刊行、平凡社大百科編集長という連想か
ら平凡社との結びつきが極めて強い人という刷り込みになっていますが、平凡社にいく
前(戦後まもなくのこと)は中央公論社の理事・出版局長、その後は編集顧問をつとめ
ていました。
中央公論社が林達夫さんにオマージュを捧げたとしても、まったくなんの不思議もなし
でありまして、当方にとって中公文庫を中公文庫ならしめていたのは、この林達夫さん
の著作であったといえるでしょう。
林達夫さんの著作が中公文庫から姿を消すのでありますからして、山口昌男さんの
以下の著作が姿を消しても驚くには値しません。
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