本の雑誌 3月号 2

 「本の雑誌」3月号を話題にするというよりも、これで特集されている大森望さん
を話題にすることになります。
 巻頭から30ページほどぶち抜きでの特集ですから大森ファンにはたまらないもの
でありましょう。当方が興味深くみたのは、「大森望を作った百冊」というブック
リストでありますが、それはのちほどであります。
 まずは、インタビューにあった次のところ。
「本に関しては好きなだけ買っていいと言われてましたね。高知市の繁華街 帯屋町
のアーケード街に島内書店という小さな新刊書店があって、いつも『つけちょいて』
って、買い放題だったから、高校くらいまで、たいていの本はそこで買ってました。
置いていない本は注文して。だから小学生のときから客注伝票を自分で書いていた。」
 小学生で「客注伝票」というのはすごいですね。このいきつけの本屋さんは、もち
ろんご両親がお得意さんであったのでしょう。いまでは客注伝票なんて仕組みはなく
なってしまったでしょうから、これからの小学生は大森望さんにあこがれても、
やりたくてもできませんですね。
 当方がいきつけの本屋で客注伝票を、自ら記入するようになったのは、仕事について
からでありました。そこの本屋ではバックヤードに自由にはいることができて、そこの
机におかれていた客注伝票に注文する本を記しておりました。一度にたくさん頼みます
と、資金繰りがつかず引き取ることができなくなりますので、懐具合にあわせて引き取
りをしたものです。ですから客注棚の一画には、いつも当方のものがならんでいました。
 当方と大森望さんの年齢差は10歳となりますので、これは当方が就職してまもなくの
ことであります。高知の島内書店さんがいまどうなっているのか気になるところです
が、当方のいきつけだったこの本屋は、とっくに姿を消してしまいました。