年の初めの

 年の初めの一冊目となる本は、行きつけの本屋で購入したいものであります。
最近は、苦戦を強いられている本屋でありまして、めぼしい新刊が入荷しない
ようになっているやに思われます。そのむかしは、この本屋で用が足りたので
ありますが、最近はあれも入荷しない、これも入荷しないと思うことばかりです。
 そうした状況にある行きつけの本屋とのつきあいは、入荷してしまったが、
返品のきかなくなっている岩波の旧刊本(背中がすこしやけている)をあさるに
限ります。そのままもっとほっておいたら、半額処分なんてこともあるのかも
しれませんが、そこまでいったら、それこそ閉店間近となってしまいます。
 この店には、岩波文庫岩波現代文庫岩波新書、岩波ジュニア新書、
そして岩波少年文庫がありますので、最新刊は入荷していなくとも、そこそこ
しばらくは楽しめそうであります。現代文庫にはいった野坂昭如さんのもの
など、講談社文芸文庫にはいったと思えば、こちらのほうがずっとお安いこと
であります。(アマゾンの中古本を見たら、ずいぶんな値段ででていまして、
すこしがっくりとくることですが。)
 先日に岩波現代文庫版「好色の魂」を手にして、この小説を最初に読んだ時の
ことを思いだしました。当方が高校生の時に下宿生活をおくったのですが、
そこで同宿だった中年の男性が、「小説新潮」「オール読み物」などの雑誌を
購読していて、読み終えるとそれをごみとしてだしていたので、当方はそれを
せっせと回収して、面白そうなものを読んでおりました。そのときに雑誌に集中
連載された「好色の魂」を目にしました。そのほか雑誌で楽しんだのは、百鬼園
随筆、狐狸庵閑話などでした。1968年くらいのことですが、思えばよい時代で
ありました。
 すこし話はそれましたが、昨日まで話題としていた岩波の読者が選ぶこの一冊
に敬意を表しての、今年の最初の一冊です。野坂コレクションは、次の機会と
いうことにして、当方が選んだのは、次のものであります。

ご冗談でしょう、ファインマンさん〈上〉 (岩波現代文庫)

ご冗談でしょう、ファインマンさん〈上〉 (岩波現代文庫)

ご冗談でしょう、ファインマンさん〈下〉 (岩波現代文庫)

ご冗談でしょう、ファインマンさん〈下〉 (岩波現代文庫)

 すぐには読むことができませんが、なんといっても「読者が選ぶこの一冊」
岩波現代文庫のベスト1でありますから、近いうちに読むことにいたしま
しょう。