月の初めに 5

 歴史の古いシリーズほど人気のあるものは固定化すると記しましたが、岩波少年文庫
もそうでありますね。それでも以前でありましたら、たぶん一番にあげられたのは、
星の王子さま」であったでしょうが、それがかわったというのが、目新しいところで
しょうか。
 今回のアンケートにある十番までは、次のとおりです。
1 モモ            エンデ        大島かおり訳
2 星の王子さま        サン=テグジュペリ  内藤濯
3 ライオンと魔女       ルイス        瀬田貞二
4 トムは真夜中の庭で     ピアス        高杉一郎
5 ドリトル先生アフリカ行き  ロフティング     井伏鱒二訳 
6 あのころフリードリヒがいた リヒター       上田真而子
7 クマのプーさん       ミルン        石井桃子
8 床下の小人たち       ノートン       林容吉訳
9 三国志           羅貫中        小川環樹・武部利男編訳
10 エミールと探偵たち     ケストナー      池田香代子
 すべて翻訳ものというのがすこし残念であります。岩波文庫が日本語で書かれたものが
中心にあがっていたのと対照的なことです。
 斎藤惇夫さんのものなどが、このリストにあがってもいっこうに不思議ではないのにで
す。
岩波少年文庫といえば、長年これに入ることが待望されていたアーサー・ランサム
シリーズ化されて着々と刊行されているのですが、これは元版を二分冊としているのが
なんとなく割高感があります。すこし大変でも一冊にして価格も千円くらいのほうが買い
やすいのにと思います。
 当方がなじんだ少年文庫は、かっての版型でありまして、今のかたちはちょっと手に
なじみにくいですよね。