師走の話題

 師走の話題といっても、本日に行われた総選挙の話ではありません。総選挙はメディア
各社が特別番組で報道していますが、出口調査のおかげで、開票が始まる前にたいせいは
決してしまい、このあとは消化試合のようになってしまいます。
 この時間は、横浜でサッカーのクラブカップ世界一の試合が行われています。当事者
以外にはあまり盛りあがった感のない選挙とくらべると、こちらのほうは熱いことです。
昨日引用した、いまから60年ほども前に書かれた渡辺一夫さんの一部をかみしめること
といたしましょう。
「自業自得の苦患を少しでも減らそうと願うことこそ、生きる道と考えてはならないので
あろうか?」
 拙ブログでの「師走の話題」といえば、今年の回顧でありますが、いつもであれば、
すでに掲載が終了している「朝日新聞」の、「今年の回顧」は、どうやら総選挙の結果
待ちのようでありまして、いまだに紙面に掲載されません。
 読書欄でいえば、先週と今週の二回にわたって毎日新聞では「今年の三冊」が掲載され
ています。毎日新聞は太っ腹でありますからして、これをネットで無料で見ることができ
ます。http://mainichi.jp/feature/news/20121216ddm015070033000c.html
 本日の冒頭には、次のようにあります。
「先週に続き、書評執筆陣(五十音順)が選ぶ今年の「この3冊」をお届けします。複数
の評者が挙げたのは、
 山崎正和著『世界文明史の試み』
松家仁之(まついえまさし)著『火山のふもとで』
スティグリッツほか著『暮らしの質を測る』
半藤一利著『日本型リーダーはなぜ失敗するのか』
水村美苗著『母の遺産−−新聞小説
金井美恵子著『ピース・オブ・ケーキとトゥワイス・トールド・テールズ』
原田マハ著『楽園のカンヴァス』の7点でした。
この1年を振り返っていただけましたか?」
このなかで、購入したのは金井美恵子作品のみでありました。( ただしまだ読むこと
ができていません。)
 本日の掲載では、三浦雅士さんの「今年は中村稔と渡辺保の当たり年」というのが
目につきました。
 渡辺保さんも毎日新聞の書評委員でありますが、その渡辺さんは、三冊目に次のものを
あげています。
「 <3>吉本隆明の帰郷=石関善治郎著(思潮社・2310円)
 今年は丸谷才一はじめ多くの人々をおくった。その追悼文は数多い。
<3>は、その一人吉本隆明の故郷、出自、素顔を徹底的に調べた異色作。天草、魚津と
この思想家の原風景を描いている。戦後の思想家の思想がどうして成り立ったかを思わせ
ると同時に戦後の日本の歴史が浮かび上がる労作。」
 しかし渡辺保さんという方は、このようなところにまで目配りをしているということに
驚きました。