最近の読書から 10

 やはり先達はあらまほしきでありまして、読書の世界でも方向性を示してくれるガイド
はありがたいものであります。当方にとっては、篠田一士さんとか、久野収さんという
方々に道案内をしてもらって、本の世界を歩いてきました。
 最近は、そうした先達も姿を消しているものですから、比較的まめにネットをみたり、
新聞の読書欄をのぞいて、なにか興味をひくものはないかと思っていたわけです。
 読書欄はかっては朝日新聞(または週刊朝日)、最近は毎日新聞がよろしでありました
が、これからもやはり新聞の読書欄は楽しみにしていくのでしょう。
毎日は丸谷才一さんが関わるようになってから、本当に充実したものと思います。
篠田一士さんの文章でタイムズ文芸付録のことなどを目にしておりましたので、そういう
世界があるのかと、イギリス文化には驚いたものです。タイムズと日本の新聞の読者を
較べたらお気の毒でありますが。
 丸谷さんのあとを守るのは、どうやら池澤夏樹さんらしいのですが、当方は池澤さんの
小説はほとんど読んでおらず、「読書癖」とか「読書エッセイ」を偏愛しております。
池澤さんは、当方よりも年長でありますが、池澤さんの読書案内に導かれて本の世界を
歩いている方々も多いのでしょうね。
 当方と同年である高橋源一郎さんをガイドにしているなんて人もいるのでありましょう
が、当方はあまり高橋さんの進める本を読んでいないようです。
 若い人となると、当方より10歳年少の黒川創さんということになっていきそうです。
文学に限ってということになると堀江敏幸さんであったのですが、こちらは人気が高く
なりすぎであります。
 最近の若い人たちは、本を読まない、買わないといわれますが、堀江敏幸さんの本や
黒川創さんの本は若い人たちにも読まれているのでありましょうか。