本日の新聞から

 日曜日の新聞読書欄を、二紙ほど見ることができました。
 朝日新聞では、「思い出す本忘れない本」という欄に振付師のラッキー池田さんが
登場して、次の本をあげていました。

拡張幻想 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)

拡張幻想 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)

 当方はSFの世界にはまったく明るくないので、これに収録されている作品の作者と
作品には知るところがないはずです。ラッキー池田さんについても、テレビでみかけ
ることがある人で、最近は「妖怪体操」の振付けで話題になったっけというくらいし
か知りません。
 この欄は、ラッキー池田さんがはなしたことを記者(?)さんがまとめたものとあ
るのですが、そのまとめ方が上手なせいでしょうか、とても池田さんの思いが伝わっ
てきたことです。
 この欄の、池田さんの結語となっている言葉です。
「 残りの人生で今後はもうSFしか読まない!と決意させてくれた一冊です。」
 池田さんは1959年生まれとありますので、まだまだ読書人生は長く続くはずですが、
このように言い切ることができるというのは、それだけこの「年刊」の舞台となった
2011年がインパクトの強い年であったということですね。
 ラッキー池田さんという人にあらためて関心がわきました。
 次は地元紙の読書欄にあったものです。
仰向けの言葉

仰向けの言葉

 堀江さんの著作は、新刊がでるたびに購入していたのですが、最近はすこし見送り
というものもでていました。今回のものは、そのうちに書店で手にしてから購入しよ
うと思っていたものですが、いまだ手にする機会がありません。
 そう思っていたら(というか、でていたことも忘れていた頃になって)、新聞読書
欄で取り上げがありました。評者は酒井忠康さんでした。
当方の目にとまったのは、酒井さんが堀江さんのあとがきがよかったとあったところ
です。いま、この掲載紙が手元にないのですが、あとがきには「宇佐見、小平林檎園、
そして堀江」のかかわりが書かれていて、これについてでありました。
 拙ブログにぽつらぽつらと「小平林檎園」の検索から立ち寄られる方がいらして、
これはどうしてなのかと思いましたら、どうやらこの本の堀江敏幸さんのあとがきを
ごらんになって「小平林檎園」に関心をもたれた方の訪問であったのでしょう。
 「宇佐見、小平林檎園」というと「明るさの神秘」という本であります。
 
明るさの神秘

明るさの神秘

 この本は、もともと「小平林檎園」というところが自費出版でだしたものを、
みすず書房が引き継いだという珍しいものです。
( 拙ブログではここから何日か http://d.hatena.ne.jp/vzf12576/20091207 )
 酒井忠康さんにとっても、この「明るさの神秘」は偏愛の一冊であるのでしょう。
2013年2月刊行の「みすず読書アンケート」に、この本をとりあげていらっしゃい
ました。このアンケートの最後のところに、次のように記されていました。
「この本には『自筆略年譜』と、元版の小平林檎園種とのかかわりを示す『付録
栞』も収録されている。」
 酒井さんの「小平林檎園」へのこだわりというのは、酒井さんが北海道余市町
いう、ウィスキー工場があることで有名な町の出身で、まちの特産品としてりんご
栽培があったこととかかわりがありでしょうか。
 当方が小平林檎園版を入手した時は、ほとんど検索してもヒットせず、しても
けっこう高額品でありました。最近は宇佐見さんの読者さんも本を処分する年齢と
なっているのでしょう。ずいぶんと求めやすい値段ででているように思います。
堀江さんの本を読まれた方、酒井忠康さんのファンは、是非とも小平林檎園版の
「明るさの神秘」を手にしてみてください。