月がかわって 3

 出版社のから届いたPR誌に掲載の文章で、気になるものは他にもあるのですが、
その前に、月が改まってすぐの日曜日(10月2日)に掲載「トヨザキ社長の鮭児書店」
を話題にです。「鮭児書店」は北海道新聞日曜読書欄に掲載される豊崎由美さんの
小気味よろしいコラム。「鮭児」というのは、「幻の鮭」といわれる高価な魚ですが、
年に数回の掲載は、ほんと残念であります。これが掲載されるたびにこの新聞の入手
につとめ(申し訳ないが購読はしていませんので)、この場で紹介をすることにして
います。(特に楽しみなのは、年に一度トヨザキ社長が選考する「鮭児文学賞」であ
りまして、昨年は11月末に決定し、今年は12月18日に掲載予定とありますので、そこ
で発表になるのでしょうか。)
 今回の「鮭児書店」のタイトルは「谷崎潤一郎賞は傑作揃い」というものでした。
トヨザキ社長が「谷崎潤一郎文学賞」好きというのは、有名な話であるらしく、
ずいぶんと前の猫々先生のブログには、「さて、谷崎賞は、数ある文学賞の中でも、
信頼できる文学賞だと、言う人がいる。まあトヨザキさんなんだが、確かに、相対的
にはそうだし、20年前まではそうだったと言えよう。」とあります。
 この猫々先生のブログ( http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20100823 )は
2010年のものですから、第46回(2010年) 阿部和重ピストルズ』が受賞した年と
なります。これを先生が記してから後、なんと審査員が固定となって今にいたって
います。
 谷崎賞をひいきにしているトヨザキ社長は、審査員の固定されていることはよろ
しくなく、しかもなぜか現代の作家で一番重要な一人である金井美恵子さんが受賞
していないのは納得できないと、以下のように書いています。
「歴代選考委員の中に、必ず一人、金井さんを嫌っている人がまぎれこんでいるん
でしょうよ。金井さん、同業者批判も平気でなさるから。」
 今年の谷崎賞は第52回で、ここ二十年くらいの選考委員は、以下のようになりで
す。
第34回から第38回 - 池澤夏樹井上ひさし河野多恵子筒井康隆日野啓三
         丸谷才一
第39回から第41回 - 池澤夏樹井上ひさし河野多恵子筒井康隆丸谷才一
第42回から第45回 - 池澤夏樹井上ひさし川上弘美筒井康隆
第46回から - 池澤夏樹川上弘美桐野夏生筒井康隆堀江敏幸
 この二十年ほど審査員を続けている人がそうなのでしょうかね。