ということで、小沢信男さんの「あの人と歩く東京」であります。
1993年5月20日刊行 装幀者 菊地信義 担当編集者 松田哲夫 長嶋美穂子
筑摩書房 発行者 関根栄郷 定価1900円(本体1845円)
まずは、帯の文章を記してみることにいたしましょう。
「 荷風さま。百けんさま。志ん生さま。・・・明治このかた三代を経て平成となった
東京。『あの人』の東京案内記をたずさえてゆけば、今歩くこの街への思いもひとしお。
南北縦断、東西往復、歩くほどに・・味わい深い東京なのです。」
あとがきには「あの人」について書かれています。
「『あの人と歩く東京』のあの人とは、まずは永井荷風氏はじめ先人各位であることは、
目次の『東京遍路帖』にご覧の通りです。生前はお目にもかからぬか、お目にかかれば
息がつまった大先達たちと、こうして同行二人してしまえるのも、しみじみ芸文のあり
がたみか。」
「あの人と歩く」というのは、「同行二人」のこととあります。四国の霊場をまわる
時に「同行二人」と記したものを身につけていますが、もちろんこれは弘法大師と一緒
という意味ですが、文学の「東京遍路」において、同行二人の相手となるあの人とは、
帯にある三人のほか、木村荘八、中野重治、久保田万太郎、辻征夫などの諸氏でありま
した。