小沢信男著作 197

 小沢信男さんの「あの人と歩く東京」が刊行されたのは1993年でありますが、
その巻頭におかれた「荷風東へゆく」と「東京遍路帖・同行二人」の半分は、
隅田川」をはさんだ両国のものであります。
 台東区谷中から隅田川をわたって墨田区生涯学習センターに定期的に通うことになる
のですが、ここでの講座は二年にわたって続いたとありました。
そのあとも、講座修了生によって句会が発足し、月に二回は隅田川を渡るという生活が、
しばらく続いたようであります。
「そのたびになにかなつかしい。この川は江戸ー東京の、やはりふるさと流れなのだろ
う。」とありますのは、「東京っ子」の感慨なのでありましょう。
 東京から江戸に時代をさかのぼるには、まずは「隅田川」を渡ってみることが必要な
ようです。
「句集・足の裏」の終わりは、「びっくりの『仰天句集』とでもいうべきものを、
狼狽して逆に口走って『句集・足の裏』。ごめんなさい。」とあるのですが、これの
「逆に口走って」というところが、よくわからなくて、「仰天句集」と「句集 足の裏」
がことば遊びになっているのかとあれこれ考えています。