小沢信男著作 178

「あの人と歩く東京」に収録の「東京遍路帖・同行二人の巻」で、小沢さんが現実に一緒
に現地を歩いたのは、92年当時に現存であった詩人 辻征夫さんです。
 辻征夫さんのエッセイ集「ゴーシュの肖像」の紹介には、「1939年東京浅草で生まれ
向島で育つ。2000年1月14日、脊髄小脳変性症に起因する病により逝く。」とあります。
辻征夫さんに関心を持つようになったのは、小沢信男さんとの関わりによってですが、
亡くなってまもなくにでた新聞の追悼記事に成人式をむかえた娘さんとともに収まった
家族写真が掲載されていたのを記憶しております。
 辻征夫さんには「隅田川まで」という詩集があり、この町歩き(向島漫歩)は、これ
を手にしてとなります。
 まず最初に訪れるのは向島が見渡せる場所 隅田区役所14階となります。(訪れたの
は92年のことと思われます。)
「 昨年十一月落成のこの建物は十四階を目下一般に開放中。南北シネラマ型の大窓か
ら、墨田区全域が見晴らせます。南窓からは旧本所区一帯が。北窓からは眼下に隅田川
弧を描き、東岸に隅田公園の緑と、旧向島区のビル群が白くひろがる。この北窓の眺めが
本日の目的地です。」