小沢信男著作 177

 「あの人と歩く東京」の辻征夫さんとの同行二人のところから、話がとんで佐山哲郎
さんの句集「娑婆娑婆」に話題がいってました。
 小沢さんは、「剽窃とは、表現を、作家様の私有とみるところからはじまる。つまり
私有権の侵害」といっています。
 音楽業界でも何小節か似ていたら、コピーしたとか盗作だとか、すぐに話題になって
しまったりしますが、それを否定的にとらえてしまうというのは、著作権が絶対的な
ものであるという商業主義に洗脳されているからでしょうか。リメイクとかサンプリング
といって音楽の世界では、ほとんど同じ曲にしか思えないのに、違った作品として流通
したりもします。似ている曲というのを否定的ではなく、肯定的にとらえた特集した
ラジオ番組を聴いたことがあります。(山下達郎さんの番組でした。)
 なんとはなしに、その番組でも「諸悪の根源であるかもしれぬ私有制度。その固定観念
へわずか音の組み合わせをふりかざしてのなぐりこみ」というようなことをいっていた
ように思います。
 古典となる音楽でありましたら、後世の演奏家が、その時代の感覚でアレンジされて、
ピアノのための書かれた曲がオーケストラになったり、まったく違った印象の曲になる
ことはよくあることです。
 日本の古典も大胆な読みによって、違った作品に生まれかわれば、さらに世界はゆたか
になるのでしょうか。