小沢信男著作 106

 フリー百科事典「Wikipedia」の小沢信男さんについての項目は参考になりますが、
もうすこし詳しくともいいのになと思っています。だれかがやってくれることを期待
しつつですが、これの著書一覧では、「あほうどりの唄」と名古屋豆本の「東京百景」
の二冊が落ちているようです。まあどちらも一般には出回らなかったのですから、
見落としがあったとしてもしょうがないですね。
 
名古屋豆本「東京百景」の目次を、以下に記しておきます。
 ・ 東京百景 五十八句
 ・ 悼句
 ・ しりとり唄
 ・ おみつくろい”東京”
 ・ あとがき

 あとがきで、小沢さんは、次のように書いています。
「題して『東京百景』じつは約五十景、六十余句。いうならばこれは前篇で、いつの日か
後篇があるのかもしれませぬとご賢察ください。回想や虚構もふくみつつ、おおむねは
折々のスケッチで、散歩日記のようなものです。先人の畏れをしらぬモジリの類も、お笑
い草まで。
 『しりとり唄』四篇は、オマケであります。
 もう一つオマケの散文は拙著『いまむかし東京逍遥』(晶文社)より、版元亀山巌大人
にみつくろって戴きました。
 ともあれ、この句集は、思いもかけずこの名古屋豆本のお仲間に入れていただき、なん
とも果報な奴であります。」
 85年には、「六十余句、いうならばこれは前篇」と記していますが、余白句会の師匠
として、俳句の世界で有名になろうとは、この時点では思ってもいなかったでしょう。
このあと、句集としては「足の裏」「全句集 んの字」とでるのですが、すべての初めは
この「東京百景」からです。