小沢信男著作 18

 小沢信男さんの詩集「赤面申告」に収録されている詩のなかで、「夕日の波止場で」と
「丘のある街で」と「白夜の海で」の三作は、小沢さんの「若きマチュウの悩み」の中に
ひっそりと掲載されています。当方が、最初に小沢さんの詩に触れたのは、この時であり
ました。
 最近はすっかりと俳人として有名になってしまっていますが、もともとは詩を作って
いたわけで、自著には詩が掲げられていたわけです。
 この詩集以降にも、同様にして詩が掲載されている作品集がありますが、これに掲載の
詩などは、まとめられることもなく、そのままで現在にいたっているようであります。
 この作品集は、きゃらばん文庫の一冊として刊行された「あほうどりの唄」(81年5月
刊)であります。(見事な表紙写真は、高梨豊さんです。)

 きゃらばん文庫は、木更津市で眼科医をしていらした「庄司肇」さんがやってらした
ユニークなシリーズです。当方がもっておりますのは、小沢さんのこれと長谷川四郎さん
のものだけですが、ほとんど私家版のようなものですから、相当にわがままにできたよう
であります。(この本については、また言及することがありますでしょう。)
 まずは、これに収録された詩作品のことであります。

 しりとり唄 1・2         「 詩学  80年8月号 」
 旅中偶作  1・2・3・4・5   「 解氷期 79年6月号 」
 T市T町午後三時           「 ユリイカ 76年3月号」
 上野不忍池午後八時         「 うえの  75年7月号」
 天にも地にも            「 未発表 」  
 失恋譜               「 未発表 」
  1 月のノクターン
  2 電線上のアリア
  3 瀕死の鵞鳥
 春の足音              「 うえの  69年3月号」 
 あほうどりの唄(作曲 小室等)   「 自由時間 75年12月号」

 雪とえれべえたあ          「 赤とんぼ 47年5月号」 
 電信柱の唄             「 未発表  」
 机の唄               「 未発表  」

 「雪とえれべえたあ」以降のものは、制作年ははっきりとしませんが、十代のころに
つくられたもののようです。