小沢信男さんの詩集「赤面申告」に収録されている詩のなかで、「夕日の波止場で」と
「丘のある街で」と「白夜の海で」の三作は、小沢さんの「若きマチュウの悩み」の中に
ひっそりと掲載されています。当方が、最初に小沢さんの詩に触れたのは、この時であり
ました。
最近はすっかりと俳人として有名になってしまっていますが、もともとは詩を作って
いたわけで、自著には詩が掲げられていたわけです。
この詩集以降にも、同様にして詩が掲載されている作品集がありますが、これに掲載の
詩などは、まとめられることもなく、そのままで現在にいたっているようであります。
この作品集は、きゃらばん文庫の一冊として刊行された「あほうどりの唄」(81年5月
刊)であります。(見事な表紙写真は、高梨豊さんです。)
きゃらばん文庫は、木更津市で眼科医をしていらした「庄司肇」さんがやってらした
ユニークなシリーズです。当方がもっておりますのは、小沢さんのこれと長谷川四郎さん
のものだけですが、ほとんど私家版のようなものですから、相当にわがままにできたよう
であります。(この本については、また言及することがありますでしょう。)
まずは、これに収録された詩作品のことであります。
しりとり唄 1・2 「 詩学 80年8月号 」
旅中偶作 1・2・3・4・5 「 解氷期 79年6月号 」
T市T町午後三時 「 ユリイカ 76年3月号」
上野不忍池午後八時 「 うえの 75年7月号」
天にも地にも 「 未発表 」
失恋譜 「 未発表 」
1 月のノクターン
2 電線上のアリア
3 瀕死の鵞鳥
春の足音 「 うえの 69年3月号」
あほうどりの唄(作曲 小室等) 「 自由時間 75年12月号」
雪とえれべえたあ 「 赤とんぼ 47年5月号」
電信柱の唄 「 未発表 」
机の唄 「 未発表 」
「雪とえれべえたあ」以降のものは、制作年ははっきりとしませんが、十代のころに
つくられたもののようです。