あほうどりの唄

 庭でアブラムシ退治とBS放送で相撲の観戦をしている合間に「アホウドリを追った
日本人」を手にしておりました。

 なぜ山を登るのかといわれて、そこに山があるからと答えたという逸話があります
が、なぜ南の島を目指すのかといわれて、そこに男のロマンがあるからなんてことで
はありませんでした。明治から大正にかけてはるか南の島々へとむかった日本人たち
の目的は、アホウドリの捕獲でありました。アホウドリからとれる羽毛は、非常に高
価なもので主にヨーロッパへと輸出されたとのことです。このアホウドリの捕獲がど
れほど凄まじいものであったかというと、小笠原諸島に生息していたアホウドリ
ほとんど5、6年で絶滅したことからもわかるということです。
 平岡さんの著書からアホウドリについてのところを引用です。
アホウドリは、両翼をひろげると2.4メートルんも及ぶ太平洋でも最大級の海鳥であ
るが、『馬鹿鳥』のほか、さまざまな名前が付けられ、その多くがアホウドリという
呼称に象徴されるように、この鳥にとって不名誉なものである。これはアホウドリ
無人島で繁殖するため、人を恐れず簡単に捕獲されたことによる。
 さらに、大型の鳥のため、飛び立つにも、20〜30メートルの滑走が必要で、敏捷に
飛び立つことができず、人間から見て動作が緩慢に見え、ぼんやりしているという意味
からであろう、天を信じる『信天翁』や『藤九郎』などと呼ばれている。逆に、ゆった
り優雅に空を舞う姿から、古くより『沖の太夫』という呼称もあり、蔑称をやめて、こ
の呼称に改称すべきという主張もある。」
 日本国内では小笠原諸島くらいでしか眼にすることができないわけですから、なじみ
のある鳥とはいえなくて、その昔に捕獲者たちが呼び名としたアホウドリで知られるの
は、この鳥にとって気の毒なことであります。英名は「アルバトロス」でありまして、
この呼び名には、阿呆というような趣はないようで、ゴルフの用語にも使われているの
を見ると、むしろ「アルバトロス」すごいということになりそうです。
 そういえば、小沢信男1986年5月刊行の本に「あほうどりの唄」というものがあり
ました。( http://d.hatena.ne.jp/vzf12576/20110509 )
 書名になっているのは、小沢信男さんの詩であります。
この詩は、もともと「自由時間」という雑誌に、小室等さんの曲をつけて掲載されたも
のでありました。
 三連からなる短い詩ですが、その終わりのところを引用です。
「 あほうどり
  燃ゆる夕日に 恋をして
  海のむこうに
  墜ちていった
  あほうどり  」
 かっての小笠原のアホウドリは、これよりもずっと苛酷な現実に直面したのですが、
小沢さんの「あほうどりの唄」もそこはかとなくかなしいことです。
 小沢信男さんといえば、5月26日金曜から27日にかけてのNHKラジオ深夜便に出演する
ということです。「ラジオ深夜便」のページをチェックしてみましたら、次のように
ありました。これはなんとかして聞かなくてはです。
「5月26日(金) アンカー:村上里和
午後11時台 午後11時15分からの放送です。
【特集】
佐藤愛子に聞く!(前半)作家 佐藤愛子
5月27日
午前0時台【特集】
佐藤愛子に聞く!(後半)作家 佐藤愛子
動き・深夜便のうた・世界の天気
午前1時台 ニュース・円株
ぼくの“東京今昔物語” 作家 小沢信男  」