明日のこころだ

 本日は土曜日なのに野暮用で外出と相成りました。戻ってから、あれこれと

チェックをしておりましたら、林哲夫さんのブログに以下の記事がありました。

sumus2013.exblog.jp  中尾務さんが「VIKING」860号に「小沢信男リトルマガジン」という文章

を寄稿しているとの話であります。

 林哲夫さんによる簡単な紹介記事もありまして、これはぜひともどこかで入手し

なくてはと思ったのであります。

 林さんの紹介記事には「小沢信男富士正晴の関係が良好だったにもかかわらず、

VIKING』に属していた小沢さんがどうして脱退したのか、そこに小沢さんの女性

問題(恋愛問題あるいは結婚問題?)があったというのは」とありまして、小沢信

男さんの「VIKING」時代のことは、あまり知られていないよなと思いました。

 そんなことを思いながら、当方の手元にある小沢信男さんの「VIKING」時代の

様子を伝える大倉徹也さんによる「VIKING海賊版 東京ブランチ誕生満四十年記念

号」というのをひっぱり出して、それにある「東京ブランチ誕生事情 VIKING

小沢信男氏」という文章を読むことにです。

 ここには、大倉さんが小沢さんの許しを得てということで、小沢さんが「VIKING

を降りた理由が記されていました。

「小沢時代にはヴァイキング・レンアイ・ケッコンというのがあって、その・・

第二号はブラン長(小沢さんのこと)自身だったのだ。われわれは大いに祝福した

が、やがてケッコンが破局を迎えたことを知る。破局後も相手の人はVIKING

降りなかった。それで小沢さんのほうが降りたのだった。」

 小沢信男さんは自分の両親の話などは書き残したりしていますが、自分の結婚生

活については、ほとんど記していないようでありまして、プライバシーに関すること

ですし、ほとんど誰も触れていなようです。

 わずかな例外は、南陀楼綾繁さんが手掛けた一代記ですが、これは小沢さんに

よって公開に値しないとされ、初出のまま眠っていますが、このなかでもこの破局

のことには言及していたと思います。

 小沢信男さんが「ユリイカ」1976年3月号に寄せた詩に「T市T町午後三時」

というのがあって、当方はそれが収録された「あほうどりの唄」(日本キャラバン

文庫)で知ることになりました。

 この詩の全文を引用です。

「 道傍で久闊を叙し

  そのほかはなにも

  あまり突然だから声にならない

  たがいに御用とお急ぎの身のようで

  じきに右左に別れたが

  

  めずらしくこの街にきて

  遠い未練にいまさら出会うことへの未練を 

  ひねりつぶして辻を曲がった

  その鼻先に その人が

  たいした中年太りになって歩いてきたのだ

  

  その人から また刻一刻遠ざかる

  後髪ぐいとひかれて

  のけぞってこの場に倒れたい

  そのくせ足早に  

  いっそ前のめりに歩いてゆく

 

 (びっくりしたな もう )  」

 小沢さんが、その女性について書き残した、数少ないものが、これであります。

 南陀楼綾繁さんによる聞き書きを確認しましたら、ご本人がこのことを話をして

いるのですが、これは刊行されることはなしでありますので、関心を持たれる方は

図書館かどこかで探してみてくださいです。

 本日に話題にしました「VIKING海賊版 東京ブランチ誕生満四十年記念号」の

著者 大倉徹也さんは、放送作家として著名でありまして、関わった仕事の代表的

なものは「小沢昭一的こころ」でありまして、あの番組は最後に「あしたのこころ

だ」といって締めるのでありました。

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