本の立ち話 5

 小沢信男さんの新刊「本の立ち話」を手にして、そういえば、この手の本と
いうのは久しぶりのことであるなと思いました。今回のものは本の跋文とか解説
を中心にまとめたものでありますが、久しぶりというよりも、ほとんど初めての
本のようでもあります。
 小沢信男さんは、こうした文章をたくさん書いているのですが、これがまとめ
られていなくて、たいへん残念に思っています。だれがやってくれる人はないのか
と思っていましたら、西田書店がやってくれました。ありがたいことです。
 今回の本にまとめられた文章は、あとがきに「おおかた近年のものになりました。
前世紀末ごろに書いた三、四本が古いほうです。さかのぼるほどに、正直わが文
ながら気に喰わない。近年のほうが、まだしものびのび言えている、ように思える。」
とありました。十数年前というと、すでに70歳になっているのですが、80歳に近づ
いて「のびのび言えている」というのは、いまだ進化しているからでしょうか。
 今年は、当方が定年退職するせいもあって、小沢信男さんがこれまでに発表した
文章を記録に残してみようと思っておりました。ご本人にそのお話をいたしまし
たら、ただであちこちに書いた文章が多くて、とってもわからないとのことで
ありました。これまでも何回かそのようなことが計画されたようでありますが、
うーむできないものかな。