今年の一冊目 2

 今年最初に書店で購入したものの一冊は、次のものです。

永遠の故郷─夕映

永遠の故郷─夕映

 吉田秀和さんが、長らく休筆状態であったのですが、朝日新聞の「音楽展望」と
へいこうして、文芸誌「すばる」で連載を始めたときは驚きをもってうけとめられ
たように思います。その連載がまとまって一冊になったのは、2008年2月のことで
した。
永遠の故郷-夜

永遠の故郷-夜

 これの後書きには、「それらはいずれまとめて『薄明』『昼』『黄昏』と続く
全四巻にして、すべて本にするつもりです。もともと、この全四巻というのは、まだ
書いていないものも入れての皮算用で、神様が許して下さるかどうか。あとになって
みなければわかりません。」
 連載を開始した時には93歳で、一冊目の「夜」をだした時は95歳になろうとして
いました。90歳を超えてからの日々というのは、一年、一年が若い時の何年分も
価値がありそうですが、見事に完結させた意志の強さには驚くしかありません。
 まどみちおさんとか日野原先生、そして吉田秀和さんと超高齢でありながら旺盛
な活動をされている人を見ると、こちらも元気づけられることです。
 この四部作は、もともとは「夜」「薄明」「昼」「黄昏」と計画されて、単行本に
なったときには、三冊目が「真昼」、四冊目が「夕映」となっています。
夜、昼は一文字、あとは二文字ですが、いまから一冊目に副題をつけると、なんと
なく二文字としておさめそうな感じですね。