今年の一冊目

 年明けに購入する一冊目をどのようなものにするか、すこし考えてしまうことです。
例年でありますと、正月2日に来てくれる兄弟に購入依頼してあったものが、その年
最初に入手する本であったのですが、今年は状況がかわりました。
 本の置き場所にも困るようになっているわけですから、これからは厳選して読む
可能性のあまりにも低いものは、購入しないようにしなくてはいけませんです。
 この時に一番影響がでるのは、ブックオフなどで105円の本を手当たり次第に購入
することでしょうか。年開けてから、新刊本屋とブックオフそれぞれ一度ずつ足を運び
ましたが、新刊本屋では以下のものを購入ですが、ブックオフではぐっとがまんして
収穫なしとしました。これはこれでストレスがたまりそうであります。
 今年の一冊目は、同時に購入した次の三冊であります。いずれも年末から年始に
かけて新刊となったものです。
 まずは、慶応3年 卯年うまれの「正岡子規」についての一冊。

正岡子規 言葉と生きる (岩波新書)

正岡子規 言葉と生きる (岩波新書)

 坪内稔典さんへの興味ということもありますが、この本のはじめにある、次のくだり
がとても好ましい。
「 正岡子規と出会ったのは二十代が終わろうとするころであった。当時、私は女子
高校の国語科教員だったが、自分がほんとうにしたい仕事が分からず、いわばふらふら
していた。仲間と連れだってパチンコにいったり、文学の同人誌を出したりしていたが、
そんなある日、珍しく勝った。意気揚々と引き揚げていた途中、古書店の店先に積んで
あった『子規全集』が目についた。
 私はその全集を衝動買いした。戦前に改造社から出たその全集は、その日にパチンコで
得た金で買えたのである。友人と手分けして提げて帰った全二十二巻のその全集が私の
その後人生を決めた気がする。」
 坪内さんは愛媛出身ですし、高校時代から句作をしていたのですから、正岡子規のもの
を読んでいないわけがないのですが、読んでいるというのと出会うというのは決定的に
違うのですね。悪銭身につかずということばがありますが、不労所得で得た本が、この
ような取り上げられ方をするとは、ちょっとつくり話のようにも聞こえますが、いいでは
ないですか。