本とコンピュータ 6

本とコンピュータ」を、ほとんど定期購読していたのは、津野海太郎さんが編集長を
していたということもありますが、それよりも小沢信男さんが、ほとんどレギュラーの
ように寄稿していたからであります。
 第1号には「エンカルタ97 エンサイクロペディア」を体験したことを報告していま
す。この時は、富士通のパソコンとともに体験用のCD-ROMの百科事典が自宅に届いた
とありました。大部の百科事典が、このように薄い円盤一枚におさまってしまうのです
から、とんでもなく劇的に減量化が実現したといえるでしょう。この時にはパソコン
とモニターがなくては見ることができないのですから、減量化とはいってもそれは
まだまだ解決しなくていけないことがありました。
 この時代には、すでに軽量化した読むための装置が開発されているとあります。
日本のコンピュータ開発に取り組むところは、どこもやっていたと思われますが、
この雑誌で紹介されているのは、東芝で開発されていた「ポータブル・ドキュメント
・ビュワー」であります。
「 ビジネス用途を考慮すれば、できるだけ画面は大きく。ただし、気軽に持ち歩ける
ことは必須の条件と考え、サイズは当初からA4と決めた。理想的な重さは、四百グラ
ム。試作機では当面、一キロを切ることを目指したが、現状ではまだ1.3キロある。
ページをめくるためのボタンに加えて、入力用の電子ペンを持ち、キーボードも繋がる
ようにした。何よりも読みやすさを優先する観点から、液晶は白黒とし、鮮明な表示が
可能となるTFT型を選んだ。」
 これを紹介しているのは「富田倫生」さんでありますが、このビュワーのことを、
「電子の紙」といっています。東芝が試作した、このビュワーが製品化されたのか
どうか、わかっておりませんが、写真を見る限りにおいては、その後にでたPDAの大型
のようにも見えます。