本とコンピュータ 7

 先日にとある方のブログを拝見していましたら、その方は文庫本になったら、
元版は処分すると書いておられました。これは置き場所の関係であるようですが、
読むのは文庫本であっても、元版は雰囲気が良くて処分できないというところに、
本が増える原因がありです。当方は、なんとか本を置いておく場所があるせいも
あって処分せずに済んでいるのですが、それでもそろそろ考えなくてはいけない
ようです。これからもずっと読まないであろうという本は、ほとんどただ同然で
あっても処分するしかないのでしょう。処分する前に電子化でもできていたら、
もっと処分するのが容易になるのかもしれません。
 当方にとっての電子ブックというのは、読むためのものであるよりも溜め込む
ためのもののようです。書物よりも先にデジタル化された音楽との付き合いが、
今後の書籍の電子化の参考になるかも知れません。
 アナログの良さは、レコード、カセット、ビデオとメディアは違っても、再生
するにメーカーが違っても再生できることにあります。カセットテープは、どんな
メーカーで製造したカセットデッキでも再生することができました。こうした
ある意味でも汎用性のようなものが、カセットテープの時代が長く続いたことを
支えていたように思います。レコードについても同じことがいえます。
技術革新と商業主義が、どんどんとメディアのライフサイクルを短くする傾向に
あり、はたしてそれは人間を幸せにしたのだろうかと思うことがあります。
 デジタル化された音楽は、携帯プレーヤーが採用する圧縮形式の違いによって、
プレーヤーが変わるとファイルを再生することができなくなります。アップルが
提供するitunesであっても、マックOSのものとウィンドウズでは互換性がない
のでありますからね。
 利用者の利便よりも、商業主義を優先するものが百年を超えて残れるとは思え
ないことです。
 現在の電子ブックについても、商業主義が先行しているように思えますので、
そうした状況が続く限りにおいては、電子ブックでしか読めないものがでたと
しても、将来に残そうとすれば逆にアナログにしなくてはいけないのかもしれ
ません。
 紙に印刷された本というのはアナログの最たるもので、千数百年にわたって
続いているのですから、これが簡単に姿を消すとは思えませんが、本卦還りを
して、紙に印刷された本というのが、きわめて貴重なものになる可能性はあり
ますね。