最近のことでしたか「岩波書店」が社員募集をするときに、応募は紹介状のある者と
条件をつけてしまいましたが、その昔の出版社であれば、問題にもならなかったでしょ
う。
平凡社などは、昔はさむらいが多くそろっていることで有名でありましたが、その
方々が書いたものを見ましたら、ほとんど紹介による入社でありまして、しかも入社後に
おいても二足のわらじをはき続けるという立派さであります。
今回、平凡社つながりとしたのは、小林祥一郎さんの「死ぬまで編集者気分」という
本を手にしたことであります。本当は、小林祥一郎、村山恒夫(新宿書房社長)、
石塚純一(札幌大学教授 出版文化史)という流れを話題にしたいのでありますが、
これは材料がすくないので、この流れとは違う人たちのものなどから話題をいただき
です。
- 作者: 小林祥一郎
- 出版社/メーカー: 新宿書房
- 発売日: 2012/04/01
- メディア: 単行本
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「こういうものを書くきっかけは、かって平凡社にいた石塚純一さんの提案により、日本
編集者学会でした講演である。2010年の11月29日、日本編集者学会の定期セミナー
で、わたしは『私の編集者人生』という題の話をした。一時間半ほどしゃべり、あと三十
分は質問を受けるという予定だったが、いつものように話が横道にそれる。質問抜きで
しゃべっても、用意した原稿の半分くらいのところで時間になった。
残りの分もふくめて学会の機関誌『エディターシップ』に掲載したいという申し出が
あり、同時にこの集まりに出ていた新宿書房の村山恒夫さんから、このときの話をもとに
何か書かないかという話がでた。村山さんには前から約束をはたしていない負い目がある
ので、すでに下原稿があるという安心感から二つとも気安く引きうけた。」
小林、村山、石塚というラインは、かって平凡社でともに仕事をしたなかであります。
この本には、巻末に人名と書名の索引がありまして、たいへん便利であります。これを
利用して村山恒夫さんを調べてみますと、本文中には次のようにあります。
「(『エンカルタ』の)たしか三年目の編集から、村山恒夫さんが編集長を引きうけて
くれた。村山さんは平凡社時代、『大百科年鑑』を一緒に立ちあげた仲間である。
その後、紙の出版社である新宿書房の社長をしている彼は、インターネットに関連する
情報にも敏感な好奇心と批判力をもっていた。」
この本の巻末には、「本書の基本データ」というページがありまして、ここには、
用紙についてのデータにとどまらず、花ぎれ、しおりについての記載や、印刷進行の
担当者名、挟み込みのはがきの印刷所名、DTPの使用OSとアプリケーションの記載まで
あるのでした。
これはなかなか他に見られなくて、さすがに編集者学会のお墨付きであります。
ちなみに編集協力のところには、石塚純一+川平いつ子+広瀬勝芳+加納千砂子とありま
す。
石塚純一さんには「金尾文淵堂をめぐる人びと」という著書がありますが、それでの
紹介には、「1971年、平凡社に入社。『世界大百科事典』編集部を経て、『イメージ・
リーディング叢書』などの人文書籍の編集に携わる。1997年、平凡社退社。」とありま
した。
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