昭和の雑文家番付

 いつもの月よりもすこし遅れて手元に届いた「本の雑誌」11月号ですが、
これの巻頭の特集は、「昭和の文学が面白い」というものです。
この特集は、いくつかのパートにわかれますが、その最初におかれているのが、
「昭和の雑文家番付をつくる」というものでした。このために、「突発番付編成
委員会」というのを結成して委員には「亀和田武坪内祐三目黒考二」の各氏が
就任です。
 編集部からの依頼は「昭和の作家で番付を作ってくれ」というものだそうですが、
これは「昭和の作家を網羅的に読んでなくてはいけないわけで・・」、それには
役不足であるので、亀和田さんと坪内さんのともに「雑文家だったら番付作れる
んじゃないか」となったのだそうです。
 雑文家としての評価でありますから、作家としての評価ではないのですが、それは
それなりに切り口が面白くて、楽しみました。
番付でありますから、まずは東と西に分けて、それから横綱から前頭までを決めて
いくのですが、東と西に振り分ける基準について、坪内さんは、次のようにいって
います。
「 東と西の違いって、東の人たちというのは、純文学にすり寄らない。純文学
テイストがふっきれているんですよ。そこがすごく『東』感がある。なにがいいたい
かというと、種村季弘さんと澁澤龍彦だと種村さんは東なんです。澁澤さんは西
なの。」
 東の西の区分けについても異論がでてきそうでありますが、このようなお遊びと
いうのはたのしそうであります。
堂々たる番付ができるのですが、ひいきにしている雑文家がはいっていないのでは
ないかとみているのですが、これがなかなか思いつかないのでして、それだけ、
よく出来た番付になっているということでしょうか。