編集工房ノアの本5

 本日も、宮川芙美子さんの作品集「リレハンメルの灯」から話題をいただきです。
宮川さんが一番訴えたいのは小説というスタイルをとっているのですが、その作品
には、触れることなしで、もっぱら寄席でいえば色物のような文章にばかり眼が
いっています。
この作品集には、「げんげ忌回想」という文章があり、これは97年の「黄色い
潜水艦」が初出です。「げんげ忌」というのは、もちろん菅原克己さんを追悼する
会であります。
「すでに故人になられた小林勝氏や長谷川四郎氏の奥さんも、この会に参加された
ことがある。会でいつも言いたい放題しゃべり、マイクをはなそうとしなかった石田
郁夫氏もいまはいない。菅原克己の追悼会のあろ、祭壇に飾られていた白百合を、抱き
かかえるようにしてもって帰った長岡弘芳氏もすでにいない。
 そして、関西方面から参加するのを念願していた川崎彰彦氏が倒れた。昨年の会で
は、高村三郎氏が出席していた。集団就職で岩手から東京へやってきた青年時代の
高村氏の孤独は、菅原克己の詩によってなぐさめられた。菅原克己の家に出入りする
うちに、『うちの養子にならないか』といわれたことがある。その高村三郎さんが
やはり倒れ、今現在、思い病床にある。」
 菅原克己さんは、仙台から近い亘理町の出身でありました。高村三郎さんは岩手、
比較的近くの出身ですが、集団就職で上京した高村さんが、どうして大阪で文学学校に
かかわるようになったのか、とっても興味のあるところです。