菖蒲忌 野呂邦暢

 連休中に「日本の古本屋」で注文してありました野呂邦暢「古い革張椅子」が、
本日手元に届きました。注文してから5月7日が、野呂邦暢さんの命日であると
いうことに気がつきました。拙ブログでは、野呂さんの諫早での追悼会「菖蒲忌」に
ついて記したり、文芸春秋から刊行された作品集の刊行日付が5月7日になって
いるなんて書いているのですが、時間が経つとすっかり忘れてしまい、その都度
新発見であるかのように喜んでしまいます。
 昨年からこれまでに小生が入手した野呂邦暢関連の本は数すくなく、あわてずに
時間をかけてすこしずつ集めましょうという感じです。

 文芸春秋社からでている「野呂邦暢作品集」は、没後15年を記念してまとめら
れたものですが、この本の奥付けは95年5月7日となっています。(95年という
のは、神戸震災とウィンドウズだけではないのです。)
 そうして、もう一冊95年5月には「彷徨と回帰」(野呂邦暢の文学世界)と
副題がついた本が5月10日付けで刊行されています。この本は、「野呂邦暢」とも
ゆかりのある西日本新聞に連載されたもので、著者は中野章子さんという当時諫早
お住まいであった女性です。
 小生が拙ブログをはじめたころに、野呂邦暢さんについての話題は、本当に少な
くて諫早と野呂作品について参考になりそうなものを探してして「朱雀の洛中日記」
にたどりついたわけです。この「朱雀の洛中日記」の方が、女性史(?)に関する
著作などがある方とは知れましたが、ご自分のブログでご自身の著作を宣伝する
わけでもありませんので、野呂邦暢さんについての著作には思いいたらずでした。
 古本ソムリエさんのブログを拝見していた時と思いますが、中野章子さんの
「彷徨と回帰」を取り上げ、この巻末の「単行本未収録作品(小説のみ)」という
リストがたいへん参考になるとあったのを拝見して、これは入手しなくてはと思った
次第です。
 この「彷徨と回帰」は、ひと月前に手元に届いたのですが、中には貴重な写真が
たくさんはいっておりまして、たいへ興味をひかれました。諫早での菖蒲忌の時に、
野呂邦暢さんの母上(納所アキノ)さんと一緒に写っている20年前の中野章子さんの
写真がありまして、このような雰囲気の女性でありますかと思いました。
 いまあらためて見てみましたら、「野呂邦暢作品集」にある年譜には、「浅尾節子、
中野章子氏による野呂邦暢年譜、作品年譜を参考にさせていただきました。」と編集部
のコメントがついています。(この編集部というのは、豊田健次さんのことでしょう。)
 中野さんのブログ 「朱雀の洛中日記」は、次のアドレスとなります。
 http://suzaku62.blog.eonet.jp/ 
 09年5月7日には、野呂邦暢さんについての記述があり、書影も掲載されて
います。短い文章ではありますが、野呂さんについて本を一冊書いた人の文章であり
ますから、短くとも中身は濃いのです。