大村線つながり 2

 佐世保諫早をつなぐ大村湾に沿って走る鉄道路線を、大村線ということを最近に
なって知りました。もともとはローカル線というものだったのでしょうが、最近は
佐世保ハウステンボス長崎市という人気の観光地をつなぐ路線で、この調子で
いくと第三セクターにならずに、生き残ることがことができるでしょうね。
 ここでの大村線つながりというのは、佐世保の作家 佐藤正午さんと諫早の作家
野呂邦暢さんの関係のことです。野呂邦暢さんに佐藤正午さんのことをどう思いま
すかと聞いても、亡くなる二年前に小説の感想をもらっただけだからなとという
くらいでしょうかね。野呂さんが亡くなったとき、いまだ佐藤正午さんは、作品を
発表していないのですから。
 このつながりを、佐藤正午さんのエッセイ集で確認するのが面白いのです。
もともと佐藤さんは、諫早へ足を伸ばすこともあるようです。
最初のエッセイ集「ありのすさび」にある「ピンチヒッター2」には、諫早に住んで
いる山田さんが、夏ばてで仕事をほうりだした佐藤正午さんにかわって寄稿という体
裁での文章になっています。
「午後の三時頃、いきなり電話がかかてきて、鰻を食うためにわざわざ佐世保から電
車にのってきた、いま諫早駅にいる、昼飯がまだならつきあわないかと言うのです。
私なんかの常識では、午後の三時に昼飯がまだなわけないだろうと思うのですが、まあ
相手が相手ですしね。文句を言いたいところをぐっと堪えて老舗の鰻屋に案内しました。
佐藤さんは鰻が大の好物なので鰻重の上と別に蒲焼きの上を頼んで(都合二人前です
ね。)ぺろりたいらげましたが、私は鰻の佃煮をさかなにビールをちびちびやっただけ
です。ところがいざ勘定というときになると佐藤さんはさっさと席をたって外へと出て
しまいます。鰻は好きでも勘定を払うのは嫌いな人なんだな。我儘で困った人です。」
 諫早には鰻屋の老舗があるのか、ここのことは野呂邦暢さんは言及しているだろうか
と、エッセイ集でこれをチェックしてみようかしらんです。
当分、大村線つながりで楽しむことができそうです、

ありのすさび (光文社文庫)

ありのすさび (光文社文庫)