小さな版元ほど運転資金が苦しくて、新聞等に新刊広告をだすことができないため
新刊案内のホームページをつくっているところが多いのですが、そんななかで、編集
工房ノアは、本文で100ページをこえる冊子「海鳴り」を年に一回だして、出版目録
にかえています。この刊行物リストには、自費出版に限りなく近いような本も含まれて
いるのではないかと思いますが、この目録では天野忠、山田稔、鶴見俊輔というノアの
常連さんたちと分け隔てなくならんでいます。
関西の作家、詩人達は、編集工房ノアから出版がかないますと、運がよろしいと、
天野忠さんと同じページで広告される可能性があるのですからね。
90年10月にでた「海鳴り7号」の、巻末におかれている自社刊行本のリストは、
当時力をいれていた「ノア叢書」がひとまとまりとなっています。
・ ディアボロの歌 小島輝正
・ 狸ばやし 富士正晴
・ 光っている窓 永瀬清子
・ 物言わざれば 桑島玄二
・ 右往左往 木村重信
・ 消え行く幻燈 竹中 郁
・ 影とささやき 山田 稔
・ 人の世やちまた 足立巻一
・ 新しい靴 庄野英二
・ 京の夢大阪の夢 山下 肇
・ 木漏れ日拾い 天野 忠
・ 人の居る風景 大谷晃一
・ 再読 鶴見俊輔
・ わが敗走 杉山平一
20年たって、上記の「ノア叢書」の数冊は品切れとありますが、いまだに残って
いるようでありまして、21号のリストには、山田稔さんの「影とささやき」でさえ、
かっての価格1800円でのっているのでした。
品切れという表示つきでのっているものもありますが、完全に姿を消している
ものもありました。
そうしたなかの一冊は、天野忠さんの詩集でありました。
「 動物園の珍しい動物」 限定350部 著者自装 サイン入り 3914円
この本のコメントには、「著者が最も愛着をもつ、絶版詩集を限定愛蔵本で
再版。」とありました。
この天野忠さんの限定本は、この時に版元に注文して入手したものですが、
編集工房ノアのものでは、一番古書価が高いので出はないかと思われますが、
めったに手放す人がいないので、高いのも仕方がないでしょうね。