昨日の本

 昨日に訪ねた大型書店では、本を何冊か購入しました。数か月前にいただいた図書
カードがありまして、それが今回の軍資金となります。こういうのがあると、けっこ
う強気で書架の前にたつことができます。
 とはいっても、なかなかどっと大人買いすることはできないことです。これは買っ
たとしても、ほとんど読む事ができないことと関係がありそうです。本を買うという
のは、ただただ未読のものを増やすことにしかならないのでありますからして。
 もちろん本を買うときには、これは読みますよと思って買うのですよね。
昨日に買った一冊目は、次のものです。

夜の船 (野呂邦暢小説集成9)

夜の船 (野呂邦暢小説集成9)

 文遊社は本当に立派です。大手の出版社にも野呂邦暢さんの集成を出したいと思った
編集者はいたでありましょうが、いろんな事情で実現しないのに、大手とくらべると
吹けば飛ぶような文遊社がやりとげましたね。
拙ブログを始めた頃には、野呂さんの作品は入手困難で、文藝春秋社からでていた
作品集は、高額商品でありましたが、文遊社とみすずのおかげで、状況は一変となり
ました。あとは、読むだけであります。
 この最終巻には詳細年譜と書誌などがついていて、これがとっても貴重であります。
年譜は解説の中野章子さんによるもの、書誌は浅尾節子さんです。
 中野さんによる年譜 二十歳の時には、次の記述がありました。
「不景気な時代に衣食住を保障し、人間として扱ってくれるのは自衛隊くらいのもの
だった。」
 1957年のことでありますが、これはそれからしばらく後も、そうであったのでしょ
う。当方は1960年代後半に野呂邦暢さんが暮らした北海道の基地の町で、その地の高
校に通ったのですが、その学校の定時制には自衛官が数多く在籍していて、その人た
ちは、自衛隊に入ったから、なんとか衣食住が保障されて、高校に通うこともできる
ようになったのであります。もちろん自衛隊にかわる組織でもよかったのでしょうが、
そういう就職先が、現実には見当たらなかったことで。
 この他は、岩波の文庫と新書が各一冊でした。これくらい地元で購入できるように
ならないものか。