読書週間 3

 読書週間のお楽しみは、青空古本市でありましょうか。天下の神田では古本まつりが
始まっていますし、京都は百万辺知恩寺境内では、古本市が始まったとありました。
数年前に、京都へといったときに、ちょうどこの時期でありましたので、京田辺
すむ友人と、知恩寺へといきましたが、小生はてっきり知恩院であろうと、とんちん
かんなことをいいまして、かって知恩寺近くの吉田山に住んでいた友人にあきれられ
ました。
 読書週間の楽しみは古本市でありますが、ことしはどちらにも縁がありませんので、
仕事帰りにブックオフによって、古本のなかに身をおくこととしました。
 本日は、この店から、昨日の堀江敏幸さんの「読書週間」によせた文章にあった
「自分が抵抗を感じるものにも時々接してほしい。」というアドバイスに従うことと
いたしました。
 その本の帯には、「著者は『経営は意志である』と高らかに叫ぶ、現状を打破し
新たな道を開拓する意志。これこそ経営の神髄と眼からうろこがおちた。」とあり
ました。このようなことが帯にかかれている本に近づくことは、普段はないのですが、
この本の著者は金本太中さんで、北海道で機械リースの会社を経営されていると人で
あります。

脱 私の経営私の人生

脱 私の経営私の人生

 小生が興味をもつのは、次のようなくだりです。
「 わたしは学舎には歩を運んだが、教室をのぞいて友人と語り合い、夕方になると
 連れだって、神楽坂、新宿界隈にくりだして安酒をあおるといった、無頼の日々を
 送っていた。そして、学内外の友人と同人誌をだしたり、同人になったりして、
 鬱屈した日々をすごしていた。
  卒業した年、ユリイカという小さな出版社から、<囚われの街>という詩集を
 自費出版した。社主の伊達得夫氏は、『いい詩集だ、きっと読まれるよ』といって
 くれたけれど、期待は空振りにおわった。
  卒業はしたけれど、今でもそうだと思うが、当時は<われわれ>に就職の門戸を
 あけてくれるところは、ほとんど無い時代だった。」 

 この経営者は、東大文学部に学び、詩人としても嘱望されたはずですが、家業を
ついて経営者の道へと進んだのあります。
辻井喬西田厚聡と同じような歩みでありますが、一方においては、伝説の詩人
帷子耀にも通じるようなところがあるのでした。