宇佐見英治さんの本

 「仙台が親戚」様によって「含羞の人」といわれている宇佐見英治さんの本は、
最近、読まれているのでしょうか。先日に、「仙台が親戚」様が湯川書房
一般刊行書では、一番のお気に入りとありました「夢の口」を「日本の古本屋」で
見つけて早速に確保しました。
 この「夢の口」は、今となってはまったく贅沢な箱入りのクロース装でして、
最近では私家版以外では、このような雰囲気の本をみることはできなくなっています。
ちなみにこの本は、80年の刊行で、宇佐見さんと湯川書房のおつき合いは、これに
先立つ4年前からのことでありました。
 みすずからでた「明るさの神秘」には、宇佐見さんの自筆略年譜が掲載されて
おりまして、これには出版についても簡単な記載があって、参考になることです。
 この年譜には次のようにありました。
「76年  『秋の眼』(限定版、190部 )が湯川書房から刊行された。
 このうちの一部は辻まことに見せ、そのすすめで『アルプ』に掲載されたもので
 ある。」
「 78年 『辻まことの思い出』を湯川書房より出版。」
「 80年 『夢の口』を湯川書房から上板。暑中の一篇『多生の旅』は、辻まこと
 本郷隆の哀悼に書いたものである。」
 
 湯川書房から3冊もでているということからも、湯川成一さんの宇佐見さんへの
思いを感じることができます。小生の手元にある本は、湯川書房みすず書房
筑摩書房からの刊行本であるせいもあって、どれも雰囲気がよろしく、印刷は
すべて精興社によるものでありました。
 「夢の口」の表題作は、建築家 白井せいいち研究という本が初出でありますが、
どこにも、建築家 白井せいいちは登場せずで、哲人建築家といわれる人への
宇佐見英治さん流のオマージュなのでありましょう。