季刊「湯川」No.2

vzf125762008-10-13

 季刊「湯川」No.2は、77年4月刊行となっています。

 表紙画 平野遼 「コントラバスの2人」 
  小川国夫 「花深き」の挿絵より

 塚本邦雄  いづこ香淀
 宇佐見英治 泉窗書屋閑話
 有田佐市  ムッシュ・Tについて 1 
 秦 恒平  「谷崎潤一郎家集」のこと 
 生田耕作訳 稀覯本余話 (デュマ 作 )

 巻末の刊行案内には、次のような本がのっています。

 「谷崎潤一郎家集」 大谷崎が最晩年まで推敲を繰り返し
「松迺舎集」「初昔 きのふけふ」としててづから編み、自身の慰めに
風懐を託した強まで未刊の和歌集。明治年代から昭和39年に至る
三百三十九首を収録。 定価 三千八百円 五月五日刊

 上記の秦 恒平の文章は、この本の刊行についてのものです。この文章の
最後のところには、次のようにあります。
「 聞けば昨今は谷崎の家集といえども気軽に出版してくれる所がないとの 
 ことだった。しかも私は僭越ながら松子夫人に、せめて十三回忌に間に合う
 出版をぜひにと勧めた。意義ありと十分に信じえたからだ。その上で湯川
 書房主人多年の谷崎愛に愬え、大谷崎最後の出版にふさわしい豪華限定本
 ならびに普及本の制作を依頼したのが、やがて『谷崎潤一郎家集』の名で
 世に出る。
  よかった、と心から思う。」

 第十一歌集 閑雅空間 塚本邦雄  定価三千九百円 六月二十日刊
 青の儀式       長谷川敬  定価1800円  七月五日刊
 浜口陽三の世界    北嶋広敏  定価二千八百円 六月五日刊   
 風迷う        古浦千恵子 定価1500円  五月二十五日刊
 
 このほかにも、シリーズとなるはずの「叢書溶ける魚」「句の叢書」の
広告もありました。
 これは、ほとんど毎月のように刊行をしているのでありますから、ずいぶん
活発な活動となっています。湯川書房とはなっていますが、編集スタッフを
雇い入れたり、持ち込みの企画もあるようです。
広告をみていて感じるのは、定価が数字にものとそれ以外の表記のもので
ありますが、これには、どのような使いわけがあるのでしょうか。
 この刊行案内に掲載されているすべてのものが、本来の意味での
湯川の本であるのかどうか、書房主はどう考えていたのでしょう。