湯川書房のこと8

 湯川書房の刊行目録は、これから収集を行おうという好事家にとっては羅針盤
ような役割をはたすものですが、いまのところは、「仙台が親戚」様がまとめた
ものがあるということがわかっただけで、まずはこれが公開されることを楽しみに
することにしましょう。どのような作家のどのような作品が、どのような形ででたか
なんてわかったら、その目録をみているだけでも楽しいような気がします。
どうせ手がでないような値段でありますから、目録だけでも(書影がついていましたら
望外)十分にありがたいことです。
 このような限定本の収集家としては、高橋啓介さんが著名でありまして、「仙台が
親戚」さまのコメントにも、この高橋さんのお名前がありました。
このかたの「保育社」からでた文庫サイズのカラーブックスをもっていることを
思い出しましたが、あれはどこにまぎれているのでしょうか。このかたのお名前を
拝見して、88年7月に刊行となった「別冊太陽」102 「古書遊覧」という本を
引っ張り出してきました。
 この特集の冒頭には「限定本」というのがおかれていまして、高橋さん自慢の
コレクションからの選りすぐりの本が紹介されていました。ほとんど一社一冊という
くらいの紹介でありますが、そこでの湯川本は、次のものです。
「『愛虚集』 永田耕衣著 湯川書房 平成7年 定価25万円 31.5×19.5 
 芭蕉布貼箱 著者の肉筆句集 限定22部 」

 22部しか刊行されないのでありますから、これを確保するのは至難であります。
単に財力だけではなく、ほかにもいろいろと入手するためには要件が必要なように
思います。
 この号には、簡単な高橋さんのご紹介がありました。
「限定本の高橋啓介氏は、今年84才となられる。ほぼ50年にわたって蒐集にはげ
まれ、今もさまざまカタログに目配りを怠らない。」
 84才で、この元気さでありまして、つくづくと蒐集するというのは、気力が
必要であるということを感じるのでありました。