私の本作り5 湯川成一

 湯川成一さんの一周忌には、湯川さんがつくった本を手にして偲ぶことにいたし
ましょうと記しましたが、湯川書房の初期の傑作といわれる加賀乙彦さん「雨の庭」を
手にしています。
 この本は、72年の刊行で、すでに会社は退社しているのですが、発行所はいまだに
自宅住所となっています。住所は摂津市正雀本町2丁目で、この正雀という地名からの
連想で、湯川書房の孔雀のマークが生まれ、湯川さんの雅号 水雀が生まれたとあり
ました。
 この本の奥付には、この本の制作にあたった人の名前が掲載されています。
 著 者 加賀乙彦
 刊行者 湯川成一
 製本者 植田由松
 印刷者 川井静夫
     鈴木美術印刷株式会社(大阪市浪速区下寺町 )
 発行所 湯川書房 
     昭和47年6月30日 発行

 この本は、湯川成一の刊行目録 14番 となるものですが、このリストでは発行
日が47年7月10日となっているようで、「SPIN 04号」にもそうあります。
本の奥付とすこし日付が違う事が気になりました。
 「SPIN 04号」にある目録で刊行目録1から39番までは「特別な記載がない時は、
印刷所は鈴木美術印刷で、製本は植田由松」とありますので、初期の本作りにおいて
は、精興社と須川製本ではないことがわかります。