関西の出版社

 戦前までは大阪にも、けっこう出版社はあったと思うのですが、高度成長期
以降は出版社は、ほとんど東京に集中することになって、大阪にはめぼしい
ものがなくなってしまいました。その昔には(たぶん、今もでしょう。)、
創元社というのは、東京と大阪に二つあって、大阪は創元社で、東京のは、
東京創元社が正式社名でありました。いまは東京のほうがずっと有名な会社に
なっていますが、大阪の会社も活動を継続中です。
 京都には、ミネルバとか世界思想社なんてのがありますが、学術書が中心で
ありますから、いまひとつ一般的な会社にはなりません。あとは、かもがわ出版
なんてのもでてきたですね。
 司馬遼太郎さんは亡くなるまで東大阪市を離れなかったのですが、最近は、
ちょっとメジャーになると、東京にひっぱられたりするようです。これは相当に
残念なことでありますが、司馬さんにしても、メジャーになってからは、関西の
出版社から作品をだすことがなかったのではないでしょうか。国民的な作家と
いわれた司馬さんが、関西の版元から新作を出し続けていたら、関西の出版
環境は、いまとは違っていたでしょう。
 昨日に引用した「季刊湯川」に寄せた寿岳文章さんの文章は、関西を拠点に
文化活動をすすめていこうという同志へのエールのようでありましたが、
関西での出版活動は、さらに衰退をするのでありましょうか。