公立図書館と本の寄贈

 本日の朝日新聞夕刊のトップ記事は「古書寄贈のミスマッチ」という
見出しで、公立図書館が市民から寄贈を募っても、それが図書館の蔵書
充実にはなかなかつながらない実態について書いてありました。
 公立図書館は、ほとんど無料貸本屋となっていまして、本の購入
リクエストをとりますとベストセラーとムックというか雑誌の購入希望が
一番多いという話を聞いたことがありました。ベストセラーでも後世に残る
ものがあるというのは承知しているもの、ベストセラーをそんなにたくさん
購入してどうするのかであります。
 公立図書館の図書購入費は減額されて細くなり、利用者の懐具合も厳しい
ので読みたいものについては、無料で借りることができる図書館に購入
リクエストをいれるという状況になります。
 図書館は、一年間の貸し出し数については内容を問わずに、数のみで競って
いますので、とりあえずベストセラーは複本で用意することとなります。
人気のあるものは、20人以上も希望者が待つこととなり、貸し出しとなるのを
じっと待つこととなります。一回の貸し出し期間は、2週間ほどでありますから、
20人も待っていれば、手にするまで半年以上もかかる計算となります。
 レンタルビデオ屋さんでありましたら、希望が多ければ増やすこともできる
のでありますが、無料貸し出し屋さんである公立図書館は、そうはいかずです。
 民間でできるものは民間でということになりますと、ベストセラーなどの
貸し出しは有料として、かっての貸本屋のような仕組みが復活すれば図書館は
図書館としての機能を、もっと果たすことができるように思います。
 個人の蔵書の処分にともなう持ち込みは、通常の場合、迷惑以外のなにもの
でもないように思います。それを評価して、そのなかから図書館に必要な本を
抜くというのは、ボランティアでもいれば別でありますが、職員が手をかける
としたら、とってもコストがあわないことです。
 個人の蔵書に価値があるのは、それを蒐集した本人にとってでありまして、
それが普遍的な価値をもつためには、相当の見識をもって、それなりの資金を
投じたものでなくてはいけないということをいっていかなくては、公立図書館は
くず本処理屋となってしまいます。
 それだけ、個人の蔵書の処分は難しいということで、小生の場合も家人からは、
あとが面倒になることだけは勘弁してくださいよといわれているのであります。