本屋とブックストア2

 最近は、日本でもブックストアと呼んでもらいたそうな顔をしている本屋
さんがあらわれていますが、小生の身近には、そのような雰囲気の店はあり
ませんです。
 ブックストアについては、片岡義男さんのエッセイでとりあげられている
ものですが、最近では松浦弥太郎さんの「くちぶえサンドイッチ」集英社文庫
にもアメリカのお気に入りのブックストアについての記述があります。
 ここ数日、片岡義男さんを中心に記していますのは、この松浦さんの集英社
文庫の解説を書いている「角田光代」さんの文中に、松浦さんを植草甚一さんの
現代版とくだりを見いだして、そう書くのであれば、どこかで片岡さんについても
ふれてほしいものと思ったからであります。
 植草甚一片岡義男松浦弥太郎とならべたほうが、植草甚一と松浦さんを
つなげるよりもつながりに無理がないと思うのです。じいさんと孫の世代を
親子だというよりも、あいだに父親の世代をいれたほうがいいでしょう。
( ピカソ中村富十郎のように、息子を介さずに孫をもつなんて、70歳も
近くになってから子供の親になる例もあるけども)

「 サンフランシスコの『シティライツ・ブックストア』を初めて訪れたとき、
 そのインディペンドな本のセレクションや店内に溢れるあたたかくて平和な
 空気感、また、ビート文学発祥から今に至って本屋として積み重ねたボヘミアン
 文化の中心地としての存在、そこにやっとたどり着いたという感動よりも、
 実は、窓から射し込む陽光にあたりながらレジをうっていた女の子の横顔の
 ほうが、ぼくには感動的だった。」( 「本屋で働く女の子」)

 松浦さんにとって魅力的なブックストアの条件というと、次のようである
ようです。
 ・ 幅広い品揃えがあるが、なかでも特定の分野において驚きの充実度である。
 ・ 本屋であって街のコミュニティとしての機能を果たす。
 ・ 良質な本が集まるのと同時に、たくさんの人と情報が集まる。
 ・ ここから新たなメッセージとスタイルが生まれ発信される。
 ・ 働く人のなかにチャーミングな女の子がいる。

 小生は、これまで商品知識の豊富でチャーミングな書店員さんにであったことが
あっただろうかと思うのでありました。